企業買収とは?友好的買収から敵対買収(TOB)まで解説。

企業買収とは?友好的買収から敵対買収(TOB)まで解説。

会社買収の基礎知識

近年は中小企業で盛んな「企業買収」とは?そのあらましとM&Aの目的・手法・敵対的買収の対策など事例を交えながらわかりやすく解説。

 

企業買収のことを「M&A」とも言いますが、これは「Mergers & Acquisitions」の略で、企業の「合併」と「買収」を意味しています。

 

「企業買収」と聞くと支配されるといったイメージが長く続きました。

しかし、近年はポジティブな成長戦略と捉えられる機会も増えており、少しづつイメージも変化しています。

 

関連記事:M&Aはなぜ注目される?企業合併が増加している理由と近年話題になったニュース10選。

 

一概に買収といっても、「友好的」な形から「敵対的」買収まで様々な形があるのです。

今回は「買収」をトピックに、総論的に、詳しく解説していきます。

 

様変わりする企業買収の実態

そもそも買収の歴史は、今から100年以上前の米国まで遡ります。

米国でも時代によって買収ブームが起こり、何度もその形が変化しているのです。

 

はじめは、「水平的な買収」と呼ばれる同業者同士の買収が盛んに行われました。

 

その後に、「垂直的な買収」と呼ばれる、製品が作られてから売るまでのタテの流れに位置する企業同士が結びつきました。

 

次第に大きくなる企業は、その後も異業種の企業同士の買収が盛んに行われ、コングロマリット企業(グループ企業)が誕生していくのです。

 

日本では「IMF8条国」に加盟したことがきっかけとなり、1960年代後半から水平的な買収が活発になります。

 

昭和39年(1964)4月、日本はIMF8条国に移行しました。

IMF(国際通貨基金)協定第8条は、経常取引における支払に対する制限の回避、差別的通貨措置の回避、他国保有の自国通貨残高の交換性維持を規定しています。

「IMF8条国」とは、協定第8条が定める、このような一般的義務を受託した国のことを言います。

掲載資料は、IMF8条国移行に伴い、外国為替予算を廃止するとともに外資導入に関する規制の簡素化を行うために、外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律を一部改正について、通商産業大臣が閣議を求めることに関する通商産業省の決裁文書です。

 

引用元:公文書にみる日本のあゆみ「外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律について(閣議請議)」

 

かつて旧・三井物産と第一物産が合併して、新・三井物産が出来たモデルが該当します。

 

そこから1980年代後半になると国内・国外問わないグローバルな買収が広がっていき、いわゆる敵対的買収が強く意識されていったのです。

 

変化しつつある日本型買収

日本の場合、1960年代の高度経済成長期から国際競争力を高めるために、主に行政主導の形で財閥の再構築が行われてきました。

 

また日本独自の慣習として、企業は「メインバンク制」を採用していた為、銀行が買収に介入するケースもありました。

それにより、業績の悪い企業を好調な企業が引き取る、というケースも珍しくありませんでした。

 

そこから1980年代に入ると「IN-OUT型」という日本企業が外国企業を買収するケースが増えました。

 

1990年代にバブル経済が崩壊すると、赤字部門の切り離しにより経営効率化を図ろうとする動きに。

1980年代とは反対に、外国企業が日本企業を買収する「OUT-IN型」という買収が増加。

 

その傾向は現在も変わりがありません。

 

そうした流れの中で、日本企業は長引く不況や停滞のなかでも競争力を高めようと「コアコンピタンス」に集中する戦略的買収が主流となっています。

 

※コアコンピタンス・・・その企業の事業における中核的な強みのことを指します。例えば電話会社であれば通信技術がコアコンピタンスといえます。

 

買収の目的とは何か

シナジー効果による経済性

買収をする目的は現在よりも成長していくためであり、お互いの強みを生かしたシナジー効果を目指しています。

日本企業の例でいうと、玩具業界を引っ張るタカラとトミーが統合した「タカラトミー」です。

合併は「吸収合併」方式でした。

 

トミーとタカラは5月13日、2006年3月1日に合併し、「タカラトミー」を設立すると発表した。

新会社の売上高は単純合算で約1800億円となり、ゲーム・娯楽系分野で第5位、玩具だけならバンダイを抜き1位。玩具事業の統合で商品開発力とマーケティングを強化し、少子化などで逆風の吹く同分野で生き残りを図る。

合併は吸収合併方式で行い、トミーを存続会社としてタカラは解散する。合併比率はトミー1に対しタカラ0.178。筆頭株主はインデックスとトミーの持株会社グループとなる。

新会社の取締役はタカラ4人、トミー3人、インデックス1人の合計8人。代表取締役社長にトミーの富山幹太郎社長、代表取締役副社長にタカラの佐藤慶太会長が就任する。インデックスからは落合正美会長が取締役に就任する。

 

引用元:トミーとタカラ、来年3月に合併

 

両者の強みである玩具の客層は異なるため、1企業になることで様々な情報の共有、幅広い世代の顧客獲得、販売・企画力の強化へと繋がっています。

 

実際、タカラトミーは2005年にスタートしてから2011年に米国の玩具メーカーを買収してつまづいたものの、2018年には大幅な増益を達成し、現在は成長軌道に復帰しています。

 

玩具大手のタカラトミーは11日、米玩具のRC2コーポレーション(イリノイ州)を買収すると発表した。

買収額は約6億4000万ドル(520億円)。ミニカーの「トミカ」など主力商品をRC2の欧米の販路に乗せて拡販する。生産・開発拠点も相互利用する。

TOB(株式公開買い付け)を実施し、1株27.9ドルで全株を取得する。TOBは10日から10営業日以内に開始し、買い付け期間は20営業日。RC2の取締役会は買収を承認済み。

両社の主力商品をそれぞれの販路に乗せて売り込む。

タカラトミーは鉄道玩具の「プラレール」、人形の「リカちゃん」などを全世界で拡販できるようになる。生産・開発についても、地域ごとに重複している拠点を統合。人事交流も進める。

 

引用元:タカラトミー、米玩具大手の買収正式発表 520億円

 

市場支配力を上げる

市場支配力とは、英語では「マーケット・パワー」と呼ばれ、市場を支配する力のことを指します。

買収をする目的の一つに「競争優位性の強化」があり、支配力が大きくなるとその分コストを下げることへと繋がるのです。

 

身近なところでいうと、銀行などの金融機関の合併は、市場支配力を上げる好循環サイクルを目指してのことなのです。

また組織を再編することはリスクマネジメントへと繋がります。

 

例えば小さな会社の場合、他にはない特殊技能があれば大きな支配力があるものの、それが起因となり、より大きな会社にまるごと買収を狙われることも起こりうるのです。

 

買収を狙われやすい会社

買収の中でも、敵対的買収のターゲットとして狙われやすい企業には、共通する特徴があります。

例えばブランドエクイティの高い企業は、買収後の利益が確実に見込めるため狙われやすいです。

 

なぜならブランドは「無形資産」に位置し、それ自体に価値を持っているからです。

 

例えばそんな企業が内部留保(キャッシュ)を蓄えており、純資産総額よりも時価総額が割安な場合、とても狙われやすい状況にある、と考えるのが自然です。

 

買収の手法

合併の種類

買収には大きく分けて「吸収合併」と「新設合併」の2つに分かれます。

吸収合併とは2つの会社のどちらかが存続して、もう一方の企業の資産や負債、人材や技術などの経営資源を吸収し引き継ぎます。

 

日本では手続きやコストの面から、この吸収合併が多いのです。

新設合併とは、複数の企業が解散し、新たに会社を設立するケースです。

 

この場合、吸収合併に比べてコストがかかり、税法上も吸収合併の方が有利な場合が多く、新設合併はあまり多くありません。

 

関連記事:「吸収合併」と「新設合併」とは?合併のメリットとデメリットと合わせて解説。

 

会社分割

会社分割とは1つの企業を複数に分けることを指します。

これは2000年の商法改正により認められた手法で、複数の企業を1つにまとめるのとは真逆の考え方です。

 

会社分割には吸収分割と新設分割があり、吸収分割はすでに存在する会社に対象の事業を引き継いでもらう手法です。

 

新設分割は会社を分割する際に新しく会社を設立し、その会社に事業を引き継いでもらうことです。

 

また会社分割をする為には、合併と同じく、株主総会における特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)による承認が必要となります。

 

関連記事:「会社分割」とは何か?M&Aの手法からメリットとデメリット、そして事例を紹介。

 

株式交換&新株発行

株式交換による買収では、現金を支払わず自社株を割り当てる方法をとるため、キャッシュレスの買収が可能となります。

例えば、A社がB社を完全子会社化する場合、B社の株主が保有しているB社の株式をA社に譲渡し、その代わりA社の株式を割り当てます。

 

こうすることで、B社の株主はA社の株主となるのです。

このような場合、株主総会で特別決議による承認を得られれば、完全子会社化することができます。

 

また株式交換と同じく一般的な買収の手法として、新しく発行した株式を割りあてる新株発行があります。

これにより、株式をひきうけるための資金が被買収企業に支払われることになり、買収による独立性を失っても、その資金を元に経営再建を図ることが可能となるのです。

 

関連記事:株式交換はどんな意味?メリットやデメリット、これまでに起きた実例も一挙公開。

 

MSCB

もっともリスクのある手法がMSCBです。

 

これは日本語では「修正条項付新株予約権付社債」と訳されます。

この社債の購入者は、発行企業の新株を取得したいと思った時に権利を行使すれば、社債発行企業より新株の交付を受けることができます。

 

このとき、MSCBで払い込んだ資金総額を転換価格で割ることで株式数が決まります。

 

そのため、転換価格が下がると転換できる株式数が増え、その時に株式を大量に売却して利益を得ることも理論上可能であり、株価が暴落するリスクがあります。

 

これがMSCBはリスクが大きい、と言われる理由なのです。

 

敵対・友好の違い

買収における敵対・友好の違いは、買収する側とされる側に充分な合意があるかないかという違いです。

ほとんどの買収は友好的に行われますが、なかには敵対的買収もあり、その場合は株式公開買付(TOB)によって議決権の過半数を握ろうと狙ってきます。

 

これが買収における敵対・友好の大きな違いなのです。

 

関連記事:TOBの「5%ルール」と「1/3ルール」とは?詳しく解説。

 

敵対的買収への対策

あるとき突然に買収をされないように、企業はいくつかの対抗策を打っています。

ここでは代表的な例をご紹介します。

 

ポイズン・ピル

ポイズン・ピルとは「毒薬」という意味で、あらかじめ定款に「企業が敵対的買収を仕掛けたときに、自社の株式を買収企業以外の株主に安く割り当てる」という条項を加えておく手法です。

これによって、条項を発動すると新たに株式が割り当てられるため株式数が増加し、買収企業の持ち株比率を下げる戦略です。

 

関連記事:ポイズンピルとは?国内外の有名な事例と併せて長所や注意点を紹介。

 

ホワイトナイト・ブラックナイト

ホワイトナイトとは、敵対的買収にさらされた時に救ってくれる騎士(ナイト)のような存在で、友好的な買収をしてくれる企業のことを指します。

あらかじめ仲の良い企業同士で申し合わせをすることも防衛策の一つといえます。

 

反対に、ブラックナイトは敵対的買収側につく企業のことを指し、買い取り対象企業の株式を買い集めることもあります。

 

関連記事:ホワイトナイトとは?事例をはじめ手法の詳細や注意点まで解説。

 

まとめ

買収を実現させる交渉術として、資本の論理だけで動かないことが大切です。

特に2010年代以降、「社会の倫理」を強く求められる時代に突入しています。

 

また実際の買収には企業間だけでなく、ファイナンシャルアドバイザーや弁護士、公認会計士、経営コンサルタントなど、さまざまな専門家が関わっている案件も多数存在します。

 

最近の例でいうと、2018年度に武田薬品がアイルランドの製薬会社シャイアーを6.8兆円で買収。

これは海外企業の買収では過去最高額の買収となり、武田薬品は世界8位のメガファーマーとなりました。

 

今後はこういったケースがさらに増え、買収が加速度的に進んで行くことが予想されます。いかに公共的でありながら企業価値を高めていくのか、株式会社はその役割を求められているのです。

 

 

関連:M&Aの形態の一つ「会社買収」の種類を手順やリスクを踏まえて解説

 

 

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