化粧品業界におけるM&Aの現状・動向は?近年の推移や事例や今後の見通しなどを含めて解説。

化粧品業界におけるM&Aの現状・動向は?近年の推移や事例や今後の見通しなどを含めて解説。

業界別M&Aの動向

化粧品業界におけるM&Aの現状・動向は?近年の推移や事例や今後の見通しなどを含めて解説。

 

M&Aという言葉を聞く機会が近年増えてきました。

M&Aは企業の合併や買収を指しますが、2012年以降M&Aを活用した合併・買収は増加傾向にあります。

 

今回は、化粧品業界におけるM&A市場について推移を振り返りつつ、近況や今後の見通し、将来性について解説します。

この記事を参考に、M&Aを活用した「企業戦略」の方針を見出して頂ければ幸いです。

 

化粧品業界の市場動向とは

M&Aに関する最新の動向について触れる前に、まずは化粧品業界全体の市場動向について軽くご紹介します。

 

市場規模はインバウンド需要で拡大傾向にある

結論からいえば、現在、化粧品業界の市場規模は、右肩上がりの傾向にあります。

矢野経済研究所の調査によれば、2017年の時点で国内化粧品市場規模は、前年度に比べても、103%増の2兆5,450億円となります。

 

製品カテゴリーごとの統計でも、全ての分野で前年度を上回る上向きの市場動向を見せています。

 

◆2016年度の国内化粧品市場規模は、前年度比102.9%の2兆4,715億円

2016年度の国内化粧品市場規模(ブランドメーカー出荷金額ベース)は、前年度比102.9%の2兆4,715億円となった。

2015年度に続き、訪日外国人客によるインバウンド需要を取り込んでいることに加え、景気回復を背景とした化粧品への需要増加や化粧品メーカーによる新たな機能性の高いブランドや商品が投入されたことが好調の要因である。

 

引用元:矢野経済研究所「国内化粧品市場規模」

 

経済産業省生産動態統計を紐解いても、純粋出荷額ベースでも大きな増加が見られます。

近年の高機能化粧品の周知及び拡販が進んだことや日本人全体における化粧品需要の高まりも市場拡大傾向に影響したと見られています。

 

主な要因としては、訪日外国人客によるインバウンド需要が近年継続して拡大していることが大きいと見られています。

カテゴリーとしては、スキンケア市場が依然トップ(構成比率46.6%)ではありますが、メイクアップ市場も同比22.6%と拡大傾向にあります。

 

高機能スキンケア製品に注目が集まる

2017年以降、化粧品業界で特に注目を集めているのは、機能性美容液などの高機能スキンケア製品です。

スキンケア製品は、もともと市場に占める構成比率が大きいことから依然として大きな市場ではあります。

 

洗顔料、美容液、フェイスパックなどを中心に、一度は落ち着いていた訪日外国人客のインバウンド需要が再び高まってきました。

インバウンド需要が市場拡大を大きく牽引しています。

 

今後国内市場は人口減で頭打ちに、アウトバウンド需要を視野に

今後の展望としては、2020年夏開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けてインバウンド需要が継続して獲得できます。

そのため、市場の継続的拡大が見込まれます。

しかし一方で、2021年以降、いずれ国内化粧品市場は人口減によって、頭打ちを迎えると見られています。

 

そうした日本の社会全体に大きく横たわる問題を見据え、化粧品業界では今後、日本で化粧品を購入した外国人に対する越境ECによる継続的な供給を行うなど、アウトバウンド需要の獲得を視野に入れる必要があります。

現在進行形で進んでいるインバウンド需要の拡大とともに、そうしたアウトバウンド需要獲得のためのさまざまなサービスへの取り組みが注目されます。

 

特に、中国を中心とした経済拡大を続けるアジア諸国での売上増加を目指す企業が、近年多くなってきています。

 

現在の化粧品業界におけるM&A動向

それでは、現在の化粧品業界におけるM&A市場はどういう市況にあるのかを見ていきましょう。

 

異業種企業の化粧品業界への参入が続く

特に近年、異業種企業による化粧品市場への参入が相次いでいます。

特に目立った動きがあったのは、富士フイルムです。

 

写真フイルム製造と美容・化粧品製造に共通する原材料(コラーゲンなど)を強みに、従来の本業で蓄積したノウハウ、独自の技術(ナノテクノロジーなど)を化粧品に活かそうと、化粧品市場へ舵を切っています。

なかでも「ASTALIFT」など、消費者にも多大なるインパクトを与える動きを活発化させている点は要注目です。

 

他にも、味の素、サントリー、第一三共、江崎グリコなどが、化粧品にも活かせる自社開発の原料や技術を化粧品に次々と応用し、新たな製品開発へと力を注いでいます。

このような動きは、健康志向、美容志向の強まる日本において、業界再編への大きな追い風になるでしょう。

 

ブランド力・施設の獲得を視野に入れたM&Aが目立つ

化粧品業界においては、主に有名なブランドを自社に丸ごと取り込もうとするM&Aや、製造工場、研究開発に関わる施設の獲得に向けたM&Aが主要な動きとなっています。

より安くより機能性が高い化粧品開発への需要が高まっている影響で、研究開発、製造を全て自社で回していくために、M&Aが必要になっているという背景もあります。

 

近年では、研究開発や製造の効率をより高めるためにOEM(受諾製造会社)をM&Aで獲得し、自社グループ企業として取り込んでしまうという方法もよくとられています。

 

国内企業が海外企業を買収する例も増えている

国内化粧品会社による海外企業の買収については、従来は欧米企業が主だったのが、現在はアジア企業の買収・提携が増えています。

アジアの中でも変化があり、中国から東南アジアへとシフトしているという特徴があります。

 

大手化粧品会社を中心に、アジア新興国市場を視野に入れた販路拡大を目指していることが、こうした動きからも読み取れます。

 

化粧品業界ならではのM&A獲得理由とは

化粧品業界ならではのM&A活用というのも、近年よく見られるようになりました。以下に詳しく紹介します。

 

化粧品業界ならではの収益性の高さを狙う企業が多い

化粧品業界は近年特に異業種からの参入が相次いでいます。

基本的に収益性の高い化粧品市場において、異業種で獲得した販路やマーケティング手法、研究開発環境や既存の技術はそのまま応用できます。

 

そのため、さらに収益率の高いスキームを構築するべく参入したり、M&Aを行ったりする例が増えています。

こうした異業種からの参入により化粧品業界の競争はますます激化し、新規参入企業に販路を奪われ、撤退する企業も出始めているほどです。

 

WEB系ベンチャー企業の買収も増加

化粧品業界においては、近い将来、国内市場が頭打ちになるとされています。

それを見据えて、インバウンド・アウトバウンド需要を獲得していくため、WEB上でのマーケティング事業やECなどの新たな販路を見出していくべき局面にきています。

 

従来の構造では、やがて限界が来ることに多くの企業が気づき、動き出しているのです。

 

デジタルを主体とした新たな販路構築のため、あるいは、より高機能な化粧品の研究開発に向けた製造工場との遠隔でのやり取りを効率化するために、WEB系のベンチャー企業へのM&Aも活発になっています。

 

化粧品業界内でのM&A事例

それでは実際に近年の化粧品業界で行われたM&Aの事例を紹介していきたいと思います。

まずは化粧品業界同士でのM&Aについてお伝えしていきたいと思います。

 

Giaran Inc. から資生堂への株式譲渡

国内大手の資生堂が米国の大学初のコスメベンチャーであるGiaran inc.を買収しました。

2017年11月7日 (日本時間11月8日)、株式会社資生堂はアメリカ地域本社であり連結子会社であるShiseido Americas Corporation (所在地:米国、デラウエア州、以下「SAC」)を通じて米国のベンチャー企業Giaran, Inc.(ギアラン、所在地:米国、マサチューセッツ州、以下「Giaran」)を買収しました。

今後、Giaranの持つ人工知能(AI)プラットフォームの先進技術をはじめとする優れたデジタル技術により、ビューティー分野におけるパーソナライゼーションをさらに進め、新しい消費者体験を生み出していきます。

 

引用元:資生堂IR

 

Giaranはバーチャルにメイクアップしたり素顔に戻したりする技術に加えて以下の技術を保有しています。

  • メイクアップアドバイス
  • カラーマッチング
  • 顔の測定
  • 肌色判定

これらの技術を取り入れて更に進んだビューティーサービスを提供していく足がかりにしていくとしています。

 

株式会社PDCから株式会社山田養蜂場への株式譲渡

山田養蜂場といえば名前からわかる通り蜂蜜を中心として食品業界のイメージがあります。

しかし、化粧品の研究・開発・販売も行っている化粧品企業でもあるのです。

 

化粧品のブランドとしては「BEE MAKE」があります。

名前の通り蜂蜜をもとにした化粧品となっています。

 

株式会社ポーラ・オリビスホールディングスの子会社である株式会社PDCからの株式譲渡をうけたことでPDCが保有する販路を獲得しました。

 

当社は、長期ビジョンである「高収益グローバル企業」の実現に向け、2020 年にはグループ連結 売上高 2,500 億円以上、営業利益率業界トップ水準(13~15%)を目指し、事業展開を進めていま す。

長期ビジョン達成に向けたセカンドステージである現中期経営計画(2014~2016 年)では、特 に国内の「更なる収益基盤強化」と「資本効率改善」による企業価値向上に取り組んでいます。

今回、この一環として、主力のビューティケア事業において、強みである「中~高価格帯の商品」、 「お客様と直接接点を持つチャネル」に、経営資源を集中し、投資効率を更に向上させることを目 的に、2 社の株式譲渡を決定いたしました。

 

引用元:ポーラ・オリビスホールディングスのIR

 

異業種による化粧品業界企業のM&A事例

次に化粧品とは別の業界が化粧品業界を買収する事例についてお伝えしていきたいと思います。

 

フランス企業SACI-CFPAの住友商事への株式譲渡

住友商事は2019年にフランスの化粧品素材ディストリビューター事業を行うSACI-CFPA社の株式の90%を取得することを発表しました。

買収理由について住友商事の発表から抜粋します。

 

SACI社は、欧州市場の中心地であるフランス市場において、化粧品メーカー向けに素材の販売や処方の開発、提案を行っており、化粧品素材専業のディストリビューターとしては欧州トップの規模を誇ります。特に、マルチナショナルブランドをはじめ、300社以上に化粧品素材を販売しているほか、欧州で特に需要が高い天然由来の素材の取り扱いが多い点に特長があります。

住友商事は、米国のプレスパース社、ブラジルのコスモテック社の買収や、100%子会社のSummit Pharmaceuticals Europe(SPE社)によるドイツ協和発酵バイオの欧州化粧品原料事業の譲受を通じて、化粧品素材ディストリビューター事業をグローバルで展開してきました。今般のSACI社の買収によって欧州の事業基盤を強化・拡大し、世界各地の優れた化粧品素材や処方を欧州の化粧品メーカーに提供します。一方、全世界の販売プラットフォームを活用し、顧客の声を集約しつつ、プレスパース社、コスモテック社、SPE社、そしてSACI-CFPA社が保有する商品ラインナップや処方開発・商品開発ノウハウの世界展開を深化していきます。

引用元:住友商事IR

 

住友商事を化粧品素材ディストリビューター事業に力をいれており、その補強のために買収を行なったということです。

 

大正製薬によるドクタープログラムの子会社化

大正製薬は言わずとしれた医薬品業界の企業です。

ドクタープログラムは基礎化粧品「トリニティーライン」を中心としてスキンケア領域に事業展開をしています。

そして販売経路が通信販売となっており大正製薬のセルフメディケーション事業の販路拡大に役立つと考えて買収をしています。

 

本件の目的

・セルフメディケーション事業の成長領域と位置付けている通販事業の拡充の一端となり得る。

・特に通販事業の顧客層の拡大が図れる。

・スキンケア領域も、大正製薬の持つセルフメディケーション事業やブランド戦略等のノウハウを活用することで、効率的に拡充できる。

等々の事が期待できるため

引用元:大正薬品

 

 

化粧品業界におけるM&A市場の今後の見通し

国内化粧品業界の市場規模については、今後も拡大傾向にあることを説明しました。

では、今後の化粧品業界におけるM&A市場全体の展望としては、どのようになるのでしょうか。

詳しく解説します。

 

異業種企業によるM&Aが今後も増えると見られる

今後、中小企業を中心に、M&Aはもはや必須となっていく世の中になっていくと見られています。

中小企業にはベンチャー企業も多く含まれています。

 

そうしたベンチャー企業が事業を大手化粧品会社に売却することで事業拡大を狙い、買い手側の大手企業も販路の拡大や多様化に対応できます。

このようなWIN-WINの効果をうむM&Aが、今後活発化すると見られています。

 

また、業界における事業の一本化、効率化をより高めていくために、通販会社が化粧品会社を買収したり、マーケティングを主体事業とする会社が化粧品会社を買収したりなど、異業種の企業による積極的な化粧品会社の取り込みが、今後も活発化する見通しとなっています。

それは主に、本業の技術や販路を化粧品業界に応用していくことによるシナジー効果を見込んだM&Aが多くを占めると考えられます。

 

設備投資負担の解消にもM&Aは有効

また、特に開発から販売まで全て自社で行っている中小の化粧品会社の場合では、資本力の高い大手との競争の結果化粧品の利益率が落ちてきている一方、開発や製造にかかる設備投資の負担が年々高まってきています。

そうした設備負担の解消を図るため、M&A活用を前提とした事業譲渡・売却を積極的に行う企業が増えていくと見られています。

 

まとめ

国内化粧品業界におけるM&Aの市場規模について、近年の化粧品業界の市場動向を振り返りつつ、今後の化粧品業界内でのM&A市場の見通しも含めて解説しました。

国内需要は今のところ微増を続けるも、今後の頭打ちは確実といわれています。

 

よりグローバルな市場への販路の拡大を迫られる中で、国内の人材不足や顧客減少が確実に見込まれます。

そのため、2020年代において、化粧品業界でのM&A活用は、確実に重要な意味を持ってくるはずです。

 

M&A市場全体では、今後は中小企業のM&Aが中心となることが見込まれていることから、中小企業の事業承継やベンチャー企業の事業拡大を図るためのM&A件数は、今後も増加していく見通しです。

これは化粧業界も変わりなく、より効率的に高機能な化粧品を開発するための業界再編が、今後さらに進んでいくと考えられます。

 

関連:業界別のM&Aの現状と今後の動向を紹介

 

 


							

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