敵対的買収を防ぐ買収防衛策とは?事例と併せて数々の手法をご紹介

敵対的買収を防ぐ買収防衛策とは?事例と併せて数々の手法をご紹介

M&A用語

デサント・伊藤忠で話題になった「敵対的買収」とは?合意なき買収を防ぐ防衛策の必要性と事例を交えて数々の手法(新株予約権、ホワイトナイトなど)をご紹介。

 

M&Aは「友好的買収」と「敵対的買収」の2種類に分かれております。

敵対的買収」の場合は、会社の希望や経営者の意向とは無関係にM&Aが成立させられてしまいます。

 

敵対的買収といえば、2019年に大企業のデサントと伊藤忠商事の話題で、かなり有名となったキーワードではないでしょうか。

 

伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOB(株式公開買い付け)が成立した。

外資や小規模の企業が買い手となった成功例はあったものの、大手企業同士では初めて成立した案件になった。

 

日本市場で敵対的な買収が成立する機運が途絶えたのは2006年、旧王子製紙による旧北越製紙の敵対的TOBだった。

三菱商事が北越の第三者割当増資を引き受け、旧日本製紙は北越株を市場で買い集めてTOBを阻止した。資本の論理より業界の秩序の維持が優先された。

 

あれから13年。市場環境は変わった。他社を守ろうと持ち合い株を買い増せば資金の無駄遣いと自身の株主に問われる。

社外取締役は株主の利益につながる買収提案なら賛成しなければならない。社会的にも買収を「乗っ取り」と受け止める風潮が和らいだ。

 

日本では伊藤忠とデサントのように関係は深くても資本関係が曖昧な企業は多い。今回のTOBを機にグループ強化や多すぎる企業の整理が資本の力で進めば、13年前に止まった時計が動き出す。

 

引用元:日経新聞「「初」の敵対的TOB 光と影 (一目均衡)」

 

敵対的買収を防ぐためには、「買収防衛策」を講じておく必要があります。

そこで今回は、買収防衛対策の具体的な方法や、過去に行われた事例を紹介し、対処法を解説していきます。

 

敵対的買収とは?

買収における敵対・友好の違いは、買収する側とされる側に十分な合意が存在するかどうかという違いです。

ほとんどの買収は友好的に行われますが、時として、敵対的買収もあります。

 

敵対的買収の場合は、「株式公開買付(TOB)」によって議決権の過半数を握ろうと狙ってきます。

これが買収における敵対・友好の大きな違いです。

 

関連記事:近年は中小企業で盛んな「企業買収」とは?そのあらましとM&Aの目的・手法・敵対的買収の対策など事例を交えながらわかりやすく解説。

 

買収を予防するための方法

まずは事前に対策を打ち、敵対的買収から会社を守るための施策をご紹介します。

対処法は多く用意されていますから、しっかりと準備を行って望まない買収を防ぎましょう。

 

ポイズンピル

買収に向けた動きを強められた際に、新株を発行することによって株式の買い占めを食い止めるという買収防衛策です。

発行済の株式を増やすことにより、敵対する企業の持ち株比率を引き下げることが可能になるため、買収を防ぐことができます。

 

ただし、株式の希薄化が進むことによって一般株主にとってのメリットも減少してしまい、株価が大きく下がるリスクを抱えることが難点です。

 

関連記事:買収防衛策の一つである「ポイズンピル」とは?国内外の有名な事例と併せて長所や注意点をわかりやすく解説。

 

マネジメントバイアウト

敵対的買収には、公開の場で株式を買い増す必要があるため、株式を非上場化させることで望まない買収を防ぐことが可能です。

自社の株式を経営陣が買い取ることにより、敵対的買収を防止します。

 

上場を維持、あるいは将来的な上場を希望している場合には選択できない買収防衛策ですが、そうでなければ検討する価値が十分にある方法です。

 

関連記事:MBOとは?Management Buyout(マネジメントバイアウト)の意味や特長や欠点について簡単にわかりやすく解説。

 

プットオプション

プットオプションとは、一定の条件が満たされたときに、株主や債権者に株式の買い取りや弁済を要求できる権利です。

 

この権利を利用して、敵対的買収が行われたときに、株主が株式の買い取り、または弁済を一括請求できる権利を行使すると明記しておけば、買収防衛策になります。

 

プットオプションを設けておくことで、買収先の企業にとって、買収が完了した際に支払う費用が高額になるというデメリットを課すことが可能です。

これにより、自社を買収先候補のターゲットから外れる可能性を高めておき、買収の予防策を講じることができます。

 

チェンジオブコントロール

自社株の保有比率が大幅に変化した場合や、経営権が変更された場合に限り、契約に関する特殊な制限や契約解除を実行させる買収防衛策です。

 

買収が進められた際、主要取引先との契約を自動的に解除するといった自社に不利な条件を敢えて設定することで、買収を実行する側のメリットをなくします。

 

ゴールデンパラシュート

敵対的買収に付き物なのが、現経営陣の退陣を迫る動きや、従業員をリストラするように迫る動きです。

退職金や一時金が相場よりも高ければ、費用の負担を嫌う買収先からの興味を失わせることができますから、有効な買収防衛策に直結することになります。

 

経営陣の退職金を引き上げることは「ゴールデンパラシュート」、一般従業員の退職金を引き上げることはティンパラシュートと呼ばれています。

 

関連記事:ゴールデンパラシュートの有効性は?注意すべき点も解説

 

黄金株

1株に限って発行できる黄金株には、買収に関する提案に対して拒否権を行使できる権利が備わっています。

友好関係にある企業に黄金株を譲渡することによって、強い後ろ盾を得ることができ、買収防衛策に繋げることが可能です。

 

黄金株は自社で保有・管理することが認められていないので、信頼できる企業に保有してもらうことが絶対条件になります。

 

買収に対抗するための方法

これまでに紹介した予防策を突破されてしまったとしても、対抗策として会社を守るための方法はまだ残されています。

ここからは、敵対する企業に対抗する形で選ぶことができる買収防衛策を紹介します。

 

ホワイトナイト

敵対的買収が進められ、公開買い付けが行われる際に、第三者割当増資を実施することによって、持ち株比率を調整して買収を防衛する方法がホワイトナイトです。

 

第三者割当増資によって特定の企業の持ち株比率を意図的に引き上げ、敵対する企業に経営権を渡さないための防衛策になります。

 

一方で「ホワイトナイト」として対応する企業の持ち株比率は急激に上昇するため、依頼を行う企業は慎重に検討しなければなりません。

 

関連記事:ホワイトナイトとは?事例をはじめ手法の詳細や注意点まで解説

 

クラウンジュエル

敵対的買収の相手となる企業は、特定の事業や資産を目的に買収を目指すことが多いため、ターゲットになっている事業を第三者に売却することも有効な買収防衛策です。

 

この方法はクラウンジュエル、日本語では焦土作戦という言葉が使われることもあり、会社としての重要な柱を失うリスクを伴った対抗策になります。

 

パックマンディフェンス

買収を目論む企業に対してカウンターを仕掛け、逆に相手企業を買収してしまうという対抗策をパックマンディフェンスといいます。

具体的には、相手企業の株式を1/4以上保有することによって議決権の一部を握り、自社の買収案を潰すことが可能です。

 

膨大な資金が必要になることが難点ですが、第三者の力を借りることなく、水際で買収を防ぐための方法としては大変有効になります。

 

ジューイッシュ・デンティスト

自社にとって不利な情報を、マスコミ等を利用しながら流し、会社の価値を敢えて下げることによって、買収から撤退させるという買収防衛策です。

買収先が考える買収後のメリットを崩すことで会社を守れますが、自社にとってのダメージも大きく、経営再建には時間がかかることが多くなります。

 

クラウンジュエルとは異なり、会社そのものの信頼を損なう結果にもなりかねませんから、最後の手段として用いるべき防衛策です。

 

買収防衛策を実行に移した企業の事例

これらの買収防衛策は机上の空論ではなく、事例として多くの会社が取り入れてきた歴史を持っています。

買収防衛策を取り入れた代表的な企業を紹介し、その後どのような道を辿ることになったのかを含めて、詳しく解説していきます。

 

ブルドックソース

2007年、米国の投資ファンドによる敵対的買収を受けた際、買収防衛策としてポイズンピル取り入れて対抗を行いました。

新株予約権の発行に対し投資ファンドは提訴を行いましたが、買収の利益は株主が判断するものという結論を出し、投資ファンドは敗訴しています。

 

これによりブルドックソースは敵対的買収を免れていますが、防衛策を取り入れたことにより数億円の費用を計上する結果となりました。

 

ソース最大手のブルドックソースが13日に開いた2019年4~9月期の決算説明会。アナリストが資本政策について質問した。

スティールとは07年にブルドックに敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けた米投資ファンドの「スティール・パートナーズ」のこと。

ブルドックは株主総会を経て、日本初となる買収防衛策を発動、法廷闘争にも発展した。

 

出典:ブルドックソース 12年越しで届いたスティールの声

フジテレビ

2005年、ライブドアからの敵対的買収を受けたフジテレビは、フジサンケイグループとの株式交換と新株予約権の発行によってこれを阻止しました。

フジテレビ経営陣と当時のライブドア代表である堀江貴文氏の争いはクローズアップされ、敵対的買収という言葉が世間一般に広まるキッカケにもなった出来事です。

 

結果としてライブドアによる買収は失敗に終わり、フジテレビの経営に大きな変化はなく、現在に至っています。

 

関東の中波放送(AMラジオ)局でラジオネットワーク「NRN」のキー局,ニッポン放送(東京証券取引所2部上場)の株式(発行済み株式総数3,280万株)に関し,インターネット関連事業を展開しているライブドア(東証マザーズ上場)が,1,640万10株を取得して持ち株比率50.00003%と過半数に達したことが,同社が3月31日に関東財務局に提出した大量保有報告書(3月25日現在)で明らかになった。

この中には名義を書き換えていない株式が含まれており,ライブドアは,株式名義を書き換えて議決権の過半数を占めることで,ニッポン放送を商法上の子会社(第211条の2第1項)とすることも可能となった。

 

出典:ライブドア,ニッポン放送株の過半数を確保

 

イオン

イオンはこれまでに敵対的買収を受けたことがありませんが、議決権割合が20%以上に及ぶ買い付けが見つけられた場合には、ポイズンピルで対抗すると公表しています。

このような買収防衛策は「事前警告型」と呼ばれることもあり、この効果もあって現在まで具体的な敵対的買収を仕掛けられることなく経営を持続させています。

 

これは買収防衛策を立てることが如何に有効であるかを示す事例として、経営者が参考にすべきケースといえるでしょう。

 

当社株式は、金融商品取引所(証券取引所)に上場し自由な売買が可能ですが、万一短期的な利益を追求するグループ等による買収が開始されて不公正な買収提案がなされると、株主の皆さまに結果として不利益を与えるおそれもあります。買収提案を受け入れるか否かは株主の皆さまの判断によるべきものですが、買収提案のあった際に、株主の皆さまが、十分かつ正確な情報と十分な時間の下にご判断いただけるよう、また、明らかに株主一般の利益を害すると判断される買収行為への対策として、「当社株式の大量取得行為に関わる対応方針(買収防衛策)継続の件」を2018年5月23日開催の第93期定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます。)に付議し、株主の皆さまのご承認をいただきました。

 

出典:イオン 買収防衛策

 

まとめ

敵対的買収を防ぐための方法は非常に多く、買収を事前に防ぐためのプランと、具体的な買収話が浮上した後に水際で食い止めるプランの2種類に分かれています。

 

日本国内でも多くの有名企業が買収防衛策を講じており、実際に買収を防いだ事例も認められるため、それらを参考にしながら有益な防止策を立てておきましょう。

 

 

関連:M&Aで頻出の用語をわかりやすく解説!企業買収の理解を深めよう。

 

 

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