企業規模を拡大するために、M&Aは常套手段となりました。
IT業界でも積極的にM&Aが行われています。
実際に、IT業界のM&A件数は年々増加傾向で業種別でもNo.1の件数を誇っています。
IT業界では、従来のM&Aと違った動きも見られます。
この記事では、IT業界のM&Aを紹介しながら、業界内で注視すべき点について紹介します。
目次
IT業界の現状
M&Aを成功させるために大切なことは、業界内の把握です。
特にIT業界では、企業がIT業界の常識を認識しておかないと、M&Aをする際に失敗してしまう恐れがあります。
そこでまずは、業界内ではどのような動きが見られるかをご紹介します。
急速的な技術の発展
従来の業界に比べ、IT業界では急速な技術発展が進んでいます。
今話題となっている技術でも、数年経過すれば時代遅れの使えない技術となっている可能性もあります。
買収する際は、IT業界の規模だけでなく、どのような技術を持っているかを把握しておきましょう。
急速な技術発展があるため、今現在弱小のベンチャー企業でも、数年後には大手企業へ成長するケースもあります。
どの企業を買収するか。IT業界の企業をM&Aをする際には、入念に検討する必要があります。
深刻な人材不足
急速に技術が進歩する一方で、業界全体に人手不足が蔓延しています。
急成長を遂げる企業の中には、エンジニアやプログラマーの不足を補うために、優秀な技術スタッフが揃っている企業を買収して問題を解消しようとする動きもあります。
このような動きがあるため、優秀な人材を保有している企業を買収できるかどうかが重要になります。
人材を集めるためにも、人材が集まりやすい企業風土を作る必要があると認識しておきましょう。
M &Aの傾向
2019年現在のIT業界のM&Aの傾向を解説します。
技術力の高い中小企業の買収
IT企業は数人で立ち上げることができるため、M&Aの対象となる企業が他の業界に比べ無数にあり、実行しやすいという風潮があります。
しかし、中小企業が無数にあるからといって、どの企業でも買収していいということではありません。
無数にある中小企業の中で確かな技術力を保有している企業を買収しないと、成功したとはいえないでしょう。
技術力のない企業を買収しても、経営状況が悪化してしまうだけなので、慎重に検討して買収計画を進める必要があると認識しておきましょう。
売却からのM &Aの打診
IT業界では、他の業界ではあまりない、売り手側から買収提案をするケースもあります。
中小企業の中には、高い技術力があるが、資金力がなく、自分たちのやりたいことをうまく実現することができないというケースがあります。
また、自分たちが開発したサービスを大手企業に売ることで、生き残りを模索するという動きもあります。
M&Aの仲介をするサイト、業者によっては、売り手に特化した仲介サービスもあるので、うまく活用すれば、理想的なM&Aを実現することが期待できます。
気をつけること
成功するためには、次のような点に注意をしながら、買収計画を検討するように心がけましょう。
エンジニアのスキル
買収で重要なことは、エンジニアのスキルです。
買収前に本当に買収するために、エンジニアの技術力がしっかりあるのかを見極めるようにしましょう。
特に重要なことは、魅力的なサービスやシステムの開発に携わったエンジニアが在籍しているかどうかです。
仮に魅力的なサービスを保有している企業を買収しても、優秀なエンジニアは既に退職し、サービス・システムだけが残っている状態の企業をあります。
そのような企業を買収しても、サービス・システムを買い取っただけで、それ以上の発展が見込めない可能性があります。
一方で、魅力的なサービスやシステムを資金力などで開発できない企業でも、過去に優秀なサービスに携わっていたエンジニアが在籍していれば、買収後に立ち上げた新規プロジェクトで、急速な発展が期待できます。
エンジニアをはじめとしたIT業界サービスを実現するための技術者が本当に在籍しているか見極めたのち、買収計画を進めるようにしましょう。
モチベーションの維持
M&Aで最も気をつけなければいけないのが、買収した後に売り手側のスタッフのモチベーションが低下して、退職をしてしまうことです。
既存の仕事のやり方、報酬形態が大きく変わり、優秀なスタッフのモチベーションが低下してしまうこともあります。
優秀なスタッフは退職しても就職先が簡単に見つかるため、自分と合わないと感じた企業はすぐに退職してしまいます。
せっかく優秀な人材が揃っている企業を買収しても、社員のモチベーションの維持に失敗すると、優秀な社員が流出してしまう可能性があります。
退社を防ぐためにも、モチベーションを維持する方法を慎重に検討しましょう。
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キーパーソンの確保
いくら社員のモチベーション維持につとめていても、会社の業務形態が変化するため、スタッフの流出を完全に食い止めることは難しいといえます。
その中でも、流出を防ぐために重要なことは、キーパーソンの確保です。
エンジニアの中でも、このスタッフだけは流出させたくないというスタッフがいるのであれば、優先的に面談を行い、待遇や不満、心配事をヒアリングして、流出を防ぐように心がけましょう。
プロジェクトによっては1人のスタッフが抜けることで、その他のスタッフも同時に退職してしまう可能性もあります。
核となる人物を中心に、説得するようにしてください。
スピード感のあるM &A
IT業界では、スピーディーな買収が求められます。
半年以上かけて、入念な調査をしてから買収を検討しようと考えている企業もあるかもしれません。
時間をかけて慎重になることも重要ですが、時間をかけすぎると、他の企業が先回りをして買収をしてしまうことも考えられます。
IT業界は他の業界とは動きが異なるので、スピード感を意識して計画を進めるようにしましょう。
将来性のある技術の見極め
エンジニアと同じように重要なことは、将来性の見極めです。
将来性のある技術を保有している企業かどうかを慎重に検討するようにしましょう。
将来どうなるかわからなければ、専門家の意見を聞いて、買収すべきかどうか判断しましょう。
成功させるために仲介会社を選ぶ
IT業界の技術を手に入れるため、業界外の企業が買収を試みる際、どのような企業を選定するべきかわからないケースもあります。
そのようなときは、仲介会社に依頼をしましょう。
仲介会社を利用することで、次のようなメリットがあります。
仲介業者を利用するメリット
M&Aを行う際は、買収先の選定、スタッフのヒアリング、引き継ぎ計画、待遇の検討など、さまざまな項目を考慮しなくてはいけません。
仲介会社を挟めば、このような手続きを一手に引き受けてもらえるので、スピーディーなM&Aが可能です。
また、素人目では、魅力的な企業かどうかを判断することが難しいケースもあります。
仲介業者は独自の査定基準を持っているだけでなく、IT業界の動向も詳しいため、買収先の企業を丁寧に評価することが可能です。
IT業界への知識が乏しい場合は、実績のある企業を見つけることが難しいと考えられるので、仲介会社にリストアップしてもらい、その中から選定するように心がけましょう。
関連記事:中小企業の事業承継に適したおすすめのM&A仲介会社を紹介。
仲介業者を利用するデメリット
仲介業者を利用するデメリットは、”コスト”と”仲介会社の実績”の2つです。
実績があまりない企業に依頼をしても、いい企業を紹介されないことも考えられます。
仲介会社を通してM&Aを進めようと検討しているのであれば、確かな実績を持つ会社に依頼するようにしましょう。
また、もちろんコストもかかります。コストについてもしっかりと考慮する必要があります。
まとめ
IT業界でM &Aをする際のポイントをまとめましょう。
- 業界の動きはめまぐるしく激しい
- 優秀なエンジニアを最優先で確保する
- 業界のことがわからなければ、仲介業者を活用してM&Aに取り組む
今回紹介したポイントを意識して、買収計画を進めるようにしましょう。