近年の国内M&Aの市場規模は?近年の推移、今後の見通しや将来性などを解説。

近年の国内M&Aの市場規模は?近年の推移、今後の見通しや将来性などを解説。

M&Aの基礎知識

近年の国内M&Aの市場規模は?近年の推移、今後の見通しや将来性などを解説。

 

「M&A」とは簡単にいうと企業の「合併」や「買収」を指しますが、近年M&Aを活用した戦略的な合併・買収は増加傾向にあります。

 

必ずしも敵対的(例.TOB)な買収ばかりではありません。

事業の連携・提携を前提とした合併や買収をより事業規模を大きくするために行うなど、M&Aに対する考え方は、経営者たちの中でも変化しつつあります。

 

2018年には過去最多のM&A件数を記録し、市場規模も拡大の傾向を辿っています。

今回は、近年の国内M&Aの市場規模の推移を振り返りつつ、近況や今後の見通し、将来性について解説していきます。

 

国内M&Aの市場規模の変遷

2019年現在の最新の動向について触れる前に、これまでのM&A市場規模の変遷を軽く振り返っていきましょう。

 

M&A市場規模の変遷

結論から言えば、依然としてM&A件数は右肩上がりの傾向にあります。

 

M&Aの件数は、1990年代には年間にしておよそ700件を境として緩やかに上下していました。

1999年に初めて1,000件を突破。

 

それを皮切りに、

2000年代初頭以降急増しM&A件数が1,000件を下回ることはなくなりました。

 

日本のM&Aの現状

引用元:中小企業白書「日本のM&Aの現状」

 

 

2008年の世界金融危機を境に、急激な減少が見られるものの2011年の1,600件台を底値として再び持ち直し、2017年には初めて3,000件を突破。

今、尚安定して増加傾向にあります。

 

2018年にはM&A件数が3,850件、金額が29.8兆円となり、件数・金額ともに最高値を記録しました。

これはこれまで最多であった2017年と比較しても800件の増加となり、2012年から7年連続の増加となっています。

 

M&A件数増加の背景

M&Aが増加した背景には何があるのでしょうか?

 

バブル崩壊を境に、日本経済が低迷する中で途上国経済が活性化。

それにより、企業間競争が一段と強まりました。

 

競争に晒された企業の収益力の低下を背景に、より「即効性の高い」企業価値や収益力の向上を意図したM&Aを行うようになったことが挙げられます。

 

特に1990年代末から2000年代に入って急激にM&Aが増加した背景としては、戦後一貫して禁止されていた、独占禁止法の改正による持株会社制度の解禁が大きな要因として挙げられます。

 

持株会社制度が禁止され、過去に「財閥解体」もあったことは有名な話ですね。

財閥による産業支配を解放すべく、独禁法制定に際して、持株会社制度が禁止されました。

 

「財閥解体」は、戦後に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が連合国軍占領下の日本で行った、過度経済力排除政策です。

 

幕末維新期に別子銅山が維新政府によって接収の危機にさらされたときと同様に、第二次世界大戦後の財閥解体は、住友の事業経営史上最大の危機であった。

非軍事化と民主化を柱とする戦後の改革の嵐のなかで、財閥解体は労働改革・農地改革と並び経済民主化の柱をなす政策であり、戦前の寡占的な経済構造を解体し、より競争的でアメリカ的な市場経済へと移行させる試みであった。

改革の基礎をなす占領軍の考え方は、「企業力の巨大な集積は『定義上』反民主主義的であり、数十万の労働者を雇い、経済の近代的部門の全範囲を含んでいるような企業は、自由で競争的な企業に見いだされる価値とはまったく別の価値を代表しないわけにはいかない」「日本の財閥は、同族としてまた法人組織として緊密に結合した比較的少人数のグループであって、日本現代史を通してその金融・商工業のみならず、その政府をも支配した最も強大な潜在的戦争能力であった」というものであった。

 

引用元:住友グループ広報委員会「財閥解体 住友の場合」

 

 

日本では戦後の財閥解体と独占禁止法による規制があり、長年持株会社を立ち上げることはできませんでした。

 

1997年に独占禁止法が改正されたことで持株会社設立が解禁され、以降経営統合の際に共同出資による持株会社設立を行い、両社がその持株会社の子会社になるといった手法がセオリーとなりました。

企業同士の資本取引が増加したということです。

 

またそれ以外にも、企業法制の整備が進み、株式交換・移転制度や新会社法の制定なども急増の背景にあります。

 

関連記事:株式交換はどんな意味?メリットやデメリット、これまでに起きた実例も一挙公開。

 

2008年を境にした急激な落ち込みは「リーマンショック」が主要因

同統計のグラフ推移を見ていると、2008年を機に大幅なM&A件数の減少が見られ、この急激な減少は2011年まで続くこととなりました。

 

その背景には世界的な金融危機となった「リーマンショック」の影響。

そして2011年の「東日本大震災」による急激な経済の混乱と国内経済の縮小が大きく関係しています。

 

こうした混乱が企業にもたらした影響は甚大で、大きな業績悪化によってM&A戦略を行いづらくなったことが減少の主要因となりました。

 

しかし2012年以降は再びM&A件数は安定して増加傾向にあります。

 

少子高齢化がますます進む中で、深刻な後継者不足の影響もあります。

 

後継者不在となった企業による事業承継の際にM&Aを活用することが増えたこと。

 

グローバル化が進む中で国際的な競争を見据えた海外企業の買収や、大幅な業界再編が積極的に実施されていることがその背景となっています。

 

関連記事:大廃業時代とは?中小企業の跡継ぎを含めた後継者不足問題の深刻さと有効な対策。

 

2019年現在のM&A市場の動向

それでは、2019年のM&A市場はどう推移しているのかを見ていきましょう。

 

2019年10月までの時点でM&A件数は3,500件に迫る勢い

株式会社レコフ」による調査データを参照すると、2019年末の時点で、前年の4,088件と過去最多を記録。

 

2019年上期(1-6月期)の時点で、前年同期の件数を上回り、2009年以来10年ぶりの高水準を記録したこともあって、2019年は前年の最高値を更新するのではないかという期待が持たれていました。

 

取引金額は2019年上期でおおよそ2兆1,000億円です。

 

前年同期に比べると6.5兆円のマイナスとなっていますが、これは前年同期に巨額の大型M&A案件があったことが大きな影響を与えています。

むしろ前年同期がレアケースと言っていいでしょう。

 

例年同様、M&A件数のほとんどが「IN-IN」(国内企業同士のM&A)である

同調査データのグラフを参照すると、10月時点でのおおよそ3,500件のうち、2,500件ほどがいわゆる「IN-IN」、日本企業同士のM&Aであり、実に7割以上となっています。

 

特に中小企業のM&Aが増加傾向にあり、これは日本政府が中小企業の事業承継策としてM&Aを推進していることも大きく後押ししています。

 

対して、いわゆるクロスボーダー案件と呼ばれる、海外企業とのM&A(IN-OUTないしOUT-IN)に関しては、「IN-OUT」(日本企業による海外企業へのM&A)は概ね平行線、「OUT-IN」(海外企業による日本企業へのM&A)は前年に伸ばしたほどの数値には達していない、といった現状です。

 

国内M&A市場規模の今後の見通し

それでは、今後の国内M&A市場規模の展望としてはどういった予測が立てられるのでしょうか。

ポイント別に解説していきます。

 

国内企業同士の「IN-IN」のM&Aは今後も増加が見込まれる

国内企業同士のM&Aは今後も増加傾向に向かうと考えられます。

 

これは以前のトレンドとして同業他社が合併していく「水平統合による」大型M&A案件が一段落ついたこと・

これ以上の大型M&Aは独占禁止法への抵触が懸念されることから、M&Aの動向が中小企業へシフトしたためです。

 

国内中小企業に対するM&Aの増加理由は、主に中小企業の経営者の高齢化に伴う事業承継問題の解決にM&Aが積極的に用いられている為で、これは先程触れた通り政府も推進しています。

 

実際、M&Aを基軸に事業承継サポートを行なっている「東京都事業引き継ぎ支援センター」の2017年の発表では、新規案件数、成約件数共に過去最高を更新する水準となっているようです。

 

中小企業の事業承継に関する課題がまだ依然として深刻なままであることを考えると、今後もしばらくは、大企業同士のM&Aは鳴りを潜め、中小企業のM&Aが活発化することが見込まれます。

 

敵対的買収は今後も少なく、一方でTOBが増加する

国内企業同士のM&Aにおいては、「敵対的買収」は殆ど無いと言っていいほど少なく、今後も同レベルで少ないままの状態を維持すると見込まれています。

 

関連記事:企業買収とは?友好的買収から敵対買収(TOB)まで解説。

 

元々、敵対的買収を行う際に買収対象企業従業員の同意が得られにくく、買収したとしても従業員のモチベーション低下や優秀な人材の離反などにより企業価値が損なわれることが多いためです。

 

企業価値が損なわれれば買収の意味がないため、今後も敵対的買収がトレンドになることはほぼ確実にないといえるでしょう。

 

その一方、敵対的買収の際にも手法として使われることのあるTOB(株式公開買付け)は今後も活用が推進されることが見込まれます。

現時点でも、特に子会社の完全子会社化や大手企業のグループ再編の際に用いられています。

 

有名な例でいうと、ソフトバンクによる2019年5月のヤフー株式会社の完全子会社化や、2019年9月のZOZO買収の際にもTOBが用いられました。

 

関連記事:

 

国内M&A市場全体の今後の見通し

国内M&A市場規模については今後も拡大傾向にあることを説明しました。

今後の市場全体の展望としてはどういった感じになるのでしょうか。

 

以下に詳しく解説していきましょう。

 

M&Aが今後「必須」となると見られる

今後、特に中小企業を中心にM&Aはもはや「必須」と言われるような時代に突入していくと考えられています。

 

それは、特に日本の高度経済成長を支えた中小企業を中心に、経営者の高齢化と後継者不足が深刻な問題となって横たわっているからです。

しかし、高齢経営者の事業承継の問題以外にもその要因があります。

 

例えば、M&Aを活用することによる「コスト削減」と「時間短縮」が挙げられます。

 

これは、事業拡大を目指すM&Aを行う際に、新規マーケットに参入する際に何も知らない状態から新規事業を1から立ち上げるよりも、既存の企業を買収して拡大させる方が遥かにコスト、時間が削減できます。

 

特に国内企業が海外のマーケットに出る場合には、現地の文化や歴史、商業の指針やルールなどが違う中で裸一貫で進出するのはハードルが高すぎます。

 

M&Aを活用して現地企業を買収し、そこから事業を拡大するスキームを取れれば、新規事業拡大への大きな足がかりとなります。

 

人材不足の解消にもM&Aは有効

また、日本は超高齢化社会を迎え今後も労働人口の減少が続くと見られ、「超人手不足」がもう目前となっています。

その中で特にIT企業を中心とした人材不足を解消する手段としてM&Aは今後活発化していくと考えられています。

 

なぜなら、M&Aを行うことで競合他社の人材を丸ごと引き抜けるからです。

既にスキルが育った優秀な人材を育てるコスト無しに獲得できるメリットは大きく、中でも会社単位で買い取ることによって一定以上の「数」を獲得できるというのも非常に大きな利点となります。

 

ただし優秀な人材はM&Aに納得せずに、企業を抜けてしまうリスクもあります。

そのため優秀な人材が今後も残るようにきめ細やかな配慮が必要ですし、今後のキャリアプランを考慮した上での条件をしっかりと整えてあげる必要があります。

 

まとめ

近年の国内M&Aの市場規模について、近年の市場動向と今後の見通しも含めて解説を行いました。

労働市場がより流動的になる中で、人材不足が顕著となっていくことが見込まれる2020年代の日本において、M&A活用は確実にキーワードとなってくるでしょう。

 

今後は中小企業のM&Aが中心となり、M&A件数は今後も増加していく一方で1件あたりの取引金額は減少していきます。

 

しかし、何よりも数が増えること、事業承継問題が深刻な現状から考えて、今後も市場規模としては拡大の傾向を辿ると見られています。

 

また、ただ単に「事業承継」や「吸収合併」などで完結することなく、海外企業との競争も激化していくと見られている中で、よりシームレスなサービス環境の提供を目指した業界再編の必要性が叫ばれています。

 

その中においても、M&Aは重要なテーマとなってくるはずです。

 

関連:M&Aとは?4つの種類と手続き・費用といった基礎的な事項をわかりやすく解説。

 

 

 

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