小売業界におけるM&Aの現状・動向は?今後の見通しも含め解説

小売業界におけるM&Aの現状・動向は?今後の見通しも含め解説

業界別M&Aの動向

小売業界におけるM&Aの現状・動向は?注目を集めたニュースの紹介と今後の見通しを解説。

 

M&Aを非常に簡単に定義するならば、企業の合併や買収のことを指します。

今回取り上げる「小売業界」は、もともと流動性の高い業界でした。

 

そのため、日本においてM&Aが一般化した頃から、企業合併、買収は頻繁に行われてきました。

 

特に近年は、大手小売業同士のM&Aを活用した合併・買収が増加し、さらに活発化している傾向にあります。

 

この記事では、小売業界におけるM&Aについて近年の動向を振り返りつつ、今後の見通しについても解説します。

 

小売業界とは?業界に含まれる業種とは?

小売業というのは、「消費者(個人)に対し物品の販売、またそれに付随するさまざまなサービスを行う事業」全般のことで、そのような企業が形成している市場全体を指します。

 

小売業界において「」というのは「個人の消費者」であり、法人顧客は含まれません。

 

この小売業界、あまりにも幅広い業種が含まれています。

 

小売業界に含まれる業種の例としては、例えば以下のようなものが挙げられます。

 

  • コンビニエンスストア
  • スーパーマーケット
  • 百貨店やデパートといった商業施設
  • ドラッグストア
  • ディスカウントストア
  • 100円均一ショップ
  • 無人販売や通信販売、訪問販売などの無店舗販売
  • 施設内売店
  • 専門店

 

コンビニエンスストアやドラッグストア、100円ショップ、ディスカウントストアなど、フランチャイズ形態での営業も広く普及している店舗がかなり増えてきています。

 

そのため、特に従来型の個人経営店や百貨店・デパートは、現在苦境に立たされています。

 

また、近年成長が著しいのが「無店舗販売」で、インターネットの普及によって目覚ましい発展を遂げています。

素人かつ個人でも事業が展開できる点が特徴です。

 

フリマサイト、オークションサイトなど利便性が向上したことも相まって、かなり柔軟性が高く、低コストで小売業が始められるようになってきています。

 

店舗がなくても経営できるというのが一番のメリットで、初期費用も少なく済むため、新規参入もしやすいです。

 

小売業界の抱える課題や現状

国内小売業界におけるM&Aに関する最新の動向について触れる前に、まずは、小売業界ならではの課題を含めた現状について、簡単に解説します。

 

特に消費税増税などの社会情勢に振り回されやすい

小売業界は、社会情勢によって、大きく売り上げや経営が左右するという特徴を持っています。

その主たるものが「消費行動の変化」であって、そのネックとなりうる消費税増税が、特に現場に対する混乱を強めています。

 

これはコンビニエンスストア、百貨店を筆頭に、小売業全体に関わってくる重要な課題です。

 

例えば2014年に消費増税が行われた際には、直前こそ駆け込み需要による好況が訪れました。

しかし、いざ増税してみると売上高は5%以上も減少し、その後も1年以上、ずっとマイナス成長が続きました。

 

2019年10月の消費増税も同様の煽りを受けると見て危険視されていましたが、今後の調査・統計が急がれます。

 

インターネット販売の普及

小売業において近年大きな変化があるとすれば、それは「インターネットによる無店舗販売の爆発的普及」が挙げられます。

これはここ数年、特に成長が著しく、個人がSNSを使って販路を広げています。

 

個人ブランド品が通信販売で購入できるサイトや、不用品をフリマアプリやオークションサイトに出品できるなど、サービスも細分化・多様化しています。

こうしたインターネットによる販売の大きな煽りを受けているのが、書店などの専門店や百貨店です。

 

それなりにブランド価値、付加価値の高い品物を実際の店舗で買わなくても、値段の安いインターネットのECサイトを通じて購入するという購買行動が増えています。

また、地方のディスカウントストアも影響を受けています。

 

地域問わず、どこにいてもインターネットを利用すれば日用品が手に入る現在では、実店舗経営を行う小売業において、大きな脅威となっているのです。

 

売り上げ自体は改善傾向にある

2014年の消費増税を受けて、しばらくは売り上げ低迷が続きました。

しかし、そこから数年経ち、売り上げ自体は緩やかにではありますが、回復傾向にありました。

 

⼩売業販売額の変動要因分解(業種別)

引用元:経済産業省「経済解析室」

 

その背景には、特に日用品や食品は生活にとって必須であるため、売り上げが大きく落ちにくいというのもあります。

 

さらに、2016年以降の緩やかな景気回復による消費意欲の向上。

訪日外国人客の増加によるインバウンド需要なども重なって、業界自体は景気が回復しつつあります。

 

2019年10月の消費増税がまた大きな影響を与える懸念もありますが、特にインバウンド需要は今後も拡大していくと見られています。

そのため、訪日外国人客の増加がマイナスに転じない限りにおいては、今後も売り上げ面では、改善が続くと見込めるでしょう。

 

それでは、現在の小売業界におけるM&A市況はどうなっているのかを見ていきましょう。

 

もともと競争が激しいため、M&Aも活発

小売業は、もともと競争の激しい業界です。

そのため、M&Aは以前から活発に行われていました。

 

移り変わり、入れ替わりの激しい業界ですから、例えば、企業の買収、事業売却、事業承継などは、積極的に行われてきたという歴史があります。

 

移り気の激しい日本人の国民性も相まって、常に柔軟な経営スタイルを強いられてきた小売業界にとって、M&Aはそこまで特殊なことではなく、むしろかなり一般的なことなのです。

 

異業種間の買収が増加している

小売業界と一口にいっても、カテゴリは細分化されており、そのカテゴリごとに販路やターゲット層は異なっています。

 

しかしながら近年は、そうした小売業の中での異業種、異なるカテゴリ間でのM&Aも活発化しています。

 

例えば、2019年にディスカウント大手のドン・キホーテが、ファミリーマート傘下のユニーを買収した例などです。

(ユニーは元々、ファミリーマートに垂直型M&Aで買収されていました)

ドンキホーテホールディングス(HD)は4日、総合スーパー(GMS)のユニーを完全子会社化したと発表した。

保有していた40%の株式に加え、同日付で残る60%をユニー・ファミリーマートホールディングスから282億円で取得した。

 

引用元:日経新聞「ドンキ、ユニーの買収完了 大原社長がユニー会長兼任」

 

または、セブン&ホールディングスなどコンビニエンスストア大手が百貨店を「吸収合併」したり、専門店や外食サービス、ドラッグストアといった異なるカテゴリからスーパーマーケットなどに参入したり、といったことが大規模に行われる傾向にあります。

 

2005年12月26日、セブン&アイ・ホールディングスは「そごう」「西武百貨店」を展開するミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を買収すると発表した。

翌06年6月、完全子会社化した。コンビニエンスストアのセブン-イレブン・ジャパンや総合スーパーのイトーヨーカ堂を持つセブン&アイが百貨店も傘下に収め、当時としては日本最大の流通グループとなった。

 

引用元:日経新聞「12月26日 「そごう」「西武」、セブン&アイが買収」

 

大手の小売業同士のM&Aも近年増加している

ここ数年、企業規模をより拡大し、事業を発展させるべく、大手企業同士のM&Aも盛んに行われてきました。

その例のひとつが、イオングループが大手企業であるダイエーを完全子会社化したことです。

 

イオンは24日、連結子会社のダイエーを2015年1月に完全子会社にすると正式発表した。

業績が低迷するダイエーの店舗網を再編し、グループ一体で収益改善に取り組む体制を整える。

東証1部に上場しているダイエー株は12月26日付で上場廃止となる予定。

18年度をめどに「ダイエー」の店舗名もなくなる。

イオンはダイエーを完全子会社にするため、ダイエーの株主にイオン株を割り当てる株式交換を実施する。

交換比率はダイエー株1株に対し、イオン株0.115株。ダイエーは11月開催予定の臨時株主総会での承認を経て、15年1月1日にイオンの完全子会社になる予定だ。

 

引用元:日経新聞「店舗名「ダイエー」なくなる イオンの完全子会社化で」

 

ダイエーは日本の小売業で初めて1兆円規模を達成するなど長年大規模に経営をしてきた企業です。

しかし、大手企業でも、買収によって大きく姿を変えるケースが増えてきています。

 

こうしたM&Aには、大手企業がお互いの豊かなノウハウを合わせることで事業のシェア拡大を図ったり、より多様化するニーズにより効果的に対応できる戦略的提携なども盛んに行われたりできるというメリットもあります。

 

しかし、特に地方においては、こうした大手資本に地元企業が次々と買収・合併されるケースが後を絶たず、大手企業が展開するチェーン店やコンビニエンスストア、デパートなどの大型店舗ばかりが立ち並ぶようになりました。

 

そのため、地域ごとの特色や付加価値は、緩やかに失われつつあります。

 

小売業界におけるM&Aの今後の見通し・成功するポイント

小売業界は常に変化にさらされており、M&Aも盛んな業界であることは説明しました。

それでは、今後のM&Aの見通しや買収を成功させるポイントなどは、どのようになるのでしょうか。

 

詳しく見ていきましょう。

 

今後も業界再編は進む見通し

M&A市場全体を見渡したとき、今後中小企業を中心にM&Aはもはや必須となっていくと考えられています。

特に小売業は、こうした変化の流れが流動的かつスピード感がある業界です。

 

中小企業を中心にではありますが大手企業も含めて、大手資本によるM&A活用が今後も加速すると見られています。

中小小売や個人商店は、事業承継問題が今後深刻化していくと見られていますので、その解決に向けてM&Aを活用していかざるをえません。

 

スタートアップ企業は、より豊かな資本獲得による事業の拡大・発展を目指してM&Aを行っていくでしょう。

M&Aは、近年ネガティブな意味合いは含んでいるものの、その分会社存続、事業継続のための希望となりうる場合も多々あります。

 

そのため、他の業界よりもさらに大きな規模で、M&A市場は大きくなっていくのではないかと見られています。

 

事前準備を入念に、タイミングをしっかり見据えて行うこと

特に移り変わりが早く、競争も激しい小売業界においてM&Aを行うなら、事前準備は時間をかけてしっかり行うべきです。

 

M&Aを成功に導くには、リスク分析はもとより、明確な目的の設定や経営戦略など、さまざまなことを入念に検討に検討を重ね、売り手買い手双方にとって、損のないものにしなければ意味がありません。

 

また、あくまでも戦略的に活用していく限りにおいて、M&Aは大きな効果を発揮します。

そのため、M&Aに踏み切るタイミングもしっかり計っていく必要があります。

 

入念に準備をしつつある程度の交渉を進めておき、ここぞというタイミングでM&Aを行うようにしましょう。

 

M&Aの準備はとても大変ですので、M&A仲介を活用して、スムーズに、確実に進めていくことも推奨します。

 

関連記事:中小企業の事業承継に適したおすすめのM&A仲介会社を紹介。

 

まとめ

国内小売業界におけるM&Aについて、近年の動向を振り返りつつ、今後の小売業界内でのM&Aの見通しも含めて解説しました。

 

日本国内の超高齢化社会による労働人口の減少が招く人材不足や顧客減少に対し、訪問外国人客の増加が確実に見込まれる2020年代において、もともとM&Aが盛んだった小売業界でのM&A活用は、さらに進んでいくでしょう。

 

さらに小売業は、景気にも大きく左右される業界です。

徐々に経済が弱まっていくといわれている日本では、より効率的に事業を回していくために、これからもM&Aによる合併や買収、経営の統廃合などが増加する見込みです。

 

これは時代の流れが生んだ必然であり、さらに大規模な業界再編も検討されていくでしょう。

 

関連:業界別のM&Aの現状と今後の動向を紹介

 

 

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