経営不振や後継者不在など、やむをえない事情による町工場の廃業が増えてきています。
経営者の高齢化や海外企業との価格競争に晒されて経営悪化していることが主因といえるでしょう。
利益が出ていなかったり、後継者がいないという状況下で経営を存続すると機材等の固定資産税で更に資金が必要となってきます。
そこで、現状では多くの経営者の方が廃業という選択肢を選択してしまっています。
以下は製造業の休廃業件数を中小企業が纏めているデータを筆者が可視化したデータです。
あくまで中小企業庁が把握しているデータですので実際は更に多くの企業が廃業していることが予想されます。
廃業を考えている人や万が一の心の準備をしたい事業者の方に向けて、必要な手続きや注意点をまとめました。
また、廃業はあくまで最終的な選択肢です。
関連:日本の中小企業の廃業問題とは?会社をたたむ理由や必要な費用を含めてわかりやすく解説!
廃業をしてしまうと従業員や取引先にも迷惑がかかってしまいますし、何より自分が手塩にかけた事業は出来れば存続したいという経営者の方もいらっしゃるでしょう。
本記事では廃業の方法についてもお伝えしていますが、最後に最良の解決策である会社を売却するという選択肢についてもお伝えしています。
是非とも参考にしていただければと思います。
目次
町工場が廃業になる理由
町工場は中小企業である場合が多く、主な廃業理由として以下の3つが考えられます。
経営不振
多くの企業が廃業してしまう理由に経営不振が挙げられます。
特に製造業となりますと、海外メーカーとの激しい価格競争に負けてしまい売上が落ちたり採算が取れなくなったりして廃業に追い込まれています。
ものが足りなかった時代には、作れば作っただけ売れ、大量生産が奨励されていました。
今では個別のニーズに応えられる製品開発を求められ、それまでとは違う製造業の体制の変化が迫られています。
部品調達の原価計算は分かりにくく手間がかかります。
さらに大手メーカーからは「お願い交渉」と呼ばれる発注者都合の価格交渉が行われている実態があります。
買い叩きが日常的に行われ町工場は疲弊し、7割以上が赤字とのデータもあります。
負債がかさみ、多くは事業停止を余儀なくされるという現実があるのです。
後継者の不在
赤字が続かずとも、経営陣の事情で町工場をたたむケースがあります。
代表例が後継者の不在です。
現代社会ではどの業界でも人手不足が社会問題となっており、町工場の経営陣の高齢化も目立っています。
子どもがいない、または会社を引き継ぐ意志がないなどで後継者が不在なのです。
関連:企業を存続させたいが後継者がいない!取るべき対策方法は?
経営者が体調不良や突然の死に至り、そのまま経営できなくなるケースもあります。
後継者がいない限りは、社長や取締役一人に事業の運命が託されている場合が多く、経営者が倒れれば事業継続は危機を迎えます。
経営陣が事業継続不可能になりますと、別のメンバーがポストに収まることもありますが、新体制が活躍できないと経営が立ち行かなくなります。
経営に慣れていない人に無理矢理後を継がせるよりも町工場を閉めた方がよいと判断する人も多いようです。
新しいステージに進みたい
決してネガティブでない理由で町工場を閉めることも考えられます。
定年より少し早めのリタイアを希望したり、別にやりたいことや目標ができたりして、前向きな気持ちで町工場を廃業する例もあります。
「ハッピーリタイアメント」と呼ばれるものです。
新しくやりたいことへの思いが強まったら、町工場を続けながらではなく、次のステージへ進むために、潔く事業停止を決心される経営者もいます。
町工場廃業にも相応の手続きが必要!売却という選択肢を考えよう。
町工場を廃業するときは、続けられなくなったからと放置するのではなく、事業停止の手続きが必要です。
時間を要する手続きですが、根気よく処理していくことが重要です。
続けられなくなっても放置は推奨されない
町工場を続けられなくなったからといって、そのまま放置するのは推奨されません。
このようなやり方は「放置逃亡」と呼ばれます。
確かに、事業が続けられなくなっても法人としての破産処理は法的に義務ではありません。
しかし、そのままでは工場を建てている土地の固定資産税や機材の管理費、物件の賃借料などが毎月かさみ、余計なコストとなります。
事業所の放置自体が法律で違法に問われなくとも、支払い義務を放棄すると債務不履行で取り立てを受けたり、
違法行為として取り締まられたりすることもあります。
事業停止した工場の放置はすべきではありません。
売却こそが最善の策
町工場をただ廃業するのではなく売却も考えられます。
町工場を会社ごと売却をすることで事業を継続させ、後継者問題なども解決できます。
更にまとまった資金を手に入れることもでき、個人保証も外すことも可能なので余生を楽しむことも出来ます。
まさに、全てを解決することができる最善の策であるといえるでしょう。
町工場は性質上廃業手続きにまとまった期間を要します。
世間では創業の手続きよりも数倍手間がかかるともいわれているのです。
導入した機材が大型かつ特殊である場合などは、整理に手間がかかるからです。
まずは売却という選択肢を考慮して、不可能であれば廃業に進むという順番で進むことが推奨されます。
売却というとネガティブなイメージを持たれがちですが、先ほどお伝えした通り全ての問題を解決することができる手段です。
更に、貴方の事業をお金を出してでも引き受けたいという買い手がいるということでもあります。
自分に自信と誇りを持って売却に望まれるのがよいでしょう。
ただ売却に関して、通常のM&A仲介では多大な時間を要しますし、途中で費用が発生して後ずさりしてしまう経営者の方もいらっしゃいます。
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また、赤字の企業や個人保証がついている企業でも買収対象とした売り手を抱えているので町工場の経営者の皆さんにもうってつけです。
以下で詳しくお伝えしていますので参考にしてみてください。
町工場廃業に必要な手続きの手順
最終手段として廃業を選択した場合のて続きについてお伝えしていきます。
町工場廃業には決まった順番をクリアしながら根気よく手続きしていきましょう。
一般的には以下の6つのプロセスを要します。
廃業スケジュールを決定し挨拶を行う
廃業手続きに入るには綿密なスケジュール設定が必要です。
特に町工場だと大型機材をはじめとした備品の処分、リース品の解約などが必須です。
これをクリアしない限りは、維持費などの支払いが毎月続き、余計な負債にもなりえます。
一般的に法人の廃業日は2~3ヶ月後が設定にふさわしいとされます。
会社内部の状況を隅々まで見渡し、なるべく余裕を持った廃業日設定をしましょう。
廃業日が決まったら早い段階で「廃業挨拶状」を取引先や関係者に配布し報告します。
株主総会で事業終了を報告しよう
会社に株主がいる場合は、廃業挨拶が終わり次第、株主総会で事業終了の日を報告しましょう。
ここで株主が解散を承認する必要があり、反対意見が多いと事業者の一存で町工場を勝手に終わらせられませんので注意しましょう。
解散承認には2つのパターンがあり、株主の2/3の賛成が必要な特別決議か、株主全員の承認が必要な書面決議になります。
清算人の選出も必要ですが、これはほとんどの場合、取締役の担当です。
いずれにしても株主総会で正式に会社の事業終了が決まれば、清算に集中できます。
解散公告を出す
法人の町工場は、正式に事業停止が決まったら官報に解散公告を出しましょう。最短でも2ヶ月間の公開が必要です。
参照:官報「解散広告」
町工場から支払いを受ける債権者側が泣き寝入りを強いられないためのルールですが、公告を出さなくても実際は清算準備や手続き自体はできます。
ただし公告を出さず、債権者が知らないことをいいことに、支払いを見てみぬ振りをしていますと、後で訴えられたときに不利になます。
負債や資産を整理する方法
町工場につきものなのが大型機材でしょう。
処分するには機材だけを売るのは物理的に難しく、工場自体を売却しないと処分できないことも多いです。
この事情から同じ業種の会社に安価で買収してもらうケースも目立ちます。
ものづくりに必要な材料や部品も売却処理が必要です。
工場を買い取った事業者に道具も引き継いでもらうほうがわかりやすいです。
一方でほかの業種にも使えそうな備品でしたら、ネットオークションなどで売却することも考えられます。
解散確定申告と清算確定申告
廃業を完全にクリアするには解散と清算用の確定申告が必要です。
専門的な内容なので弁護士などへ相談しましょう。
解散確定申告は該当年度の初日から町工場解散当日までが対象になるだけで、方法は通常の確定申告と大部分が同じとされます。
清算確定申告は町工場に残った負債や資産を計算し、残りのお金が決まったときに行う特殊なものです。
確定保険料申告書の提出
確定保険料申告書は事業停止から50日以内に必要で、労働保険の支払いをストップする目的があります。
放置すると余分な保険金を支払うことになります。
正式に廃業が決まった後に行うことが前提ですので、ついつい忘れてしまう手続きです。
チェックリストに加えておきましょう。
まとめ
町工場は巨大な機械を毎日動かすなどハードワークを要しますので、事業停止にも複雑な手続きが求められます。
機械が特殊で同業種でなければ買い手がつかず、資産処理がうまくいかない可能性もあります。
廃業が決まった工場の残務処理は、時間を要するシリアスな作業です。
まずは会社ごと売却をするという選択肢を検討しましょう。
会社売却で資金を手に入れるだけでなく、事業承継を実現でき、取引先や従業員にもハッピーな結果となります。
まずは「会社即売.com」に相談してみるとよいでしょう。
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どうしても廃業せざるを得なくなったという局面においてのみ当記事を参考にしていただき廃業手続きに移って行きましょう。