株式を相続する場合の注意点とは?売渡し請求行使による相続クーデターに気をつけよう。

株式を相続する場合の注意点とは?売渡し請求行使による相続クーデターに気をつけよう。

親族内・親族外承継

株式を相続する場合の注意点とは?売渡し請求行使による相続クーデターに気をつけよう。

株式を相続して親族から事業を承継する方法としては、生前に株式を譲渡される生前贈与遺言によって譲渡する遺贈があります。

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しかし、上記のいずれも行わずに先代の経営者が急逝してしまうという場合も当然に起こり得ます。

このような状況では、どのように会社の株式が相続されていくのでしょうか?

 

本日は何も事業承継がなされないまま、先代経営者が急逝した場合の相続の方式と注意点について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

先代経営者死亡後は株式は共有状態に

相続財産である株式は相続開始と同時に法定相続分に応じて分割されるわけではありません。

法定相続分の算出方法については以下の記事でまとめていますのでご覧ください。

関連: 事業承継における遺留分減殺請求権とは?改正法を含めてわかりやすく解説する!

 

遺産分割手続きを経るまでは株式は相続人の共有状態となります。

実際最高裁での判決も出ておきります。

 

株式は,株主たる資格において会社に対して有する法律上の地位を意味し、株主は、株主たる地位に基づいて,剰余金の配当を受ける権利(会社法105 条1項1号),残余財産の分配を受ける権利(同項2号)などのいわゆる自益権 と,株主総会における議決権(同項3号)などのいわゆる共益権とを有するのであって(最高裁昭和42年(オ)第1466号同45年7月15日大法廷判決・民集 24巻7号804頁参照)このような株式に含まれる権利の内容及び性質に照らせば、共同相続された株式は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである

参照:最高裁判決「平成26年2月25日民集68巻2号173頁」

 

共有状態というのは所有権等があり一定の権利が複数の人によって支配並びに利用されている状態のことを指します。

 

原則、当該株式についての権利を行使するもの1名を権利行使者と定めます。

株式会社に対して、権利行使者の氏名・名称を通知することで当該株式についての権利を行使することができます。

 

そして、権利行使者を定めるにあたっては「持分の価格に従いその過半数をもってこれを決することができるものと解するのが相当である」とされています。

 

共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従いその過半数で決せられる。

参照:最高裁判決「平成27年2月19日民集69巻1号25頁」

 

相続人の共有状態にある株式は基本的に相続人の持分価格の過半数によって全株式の議決権の行使が決定されることになります。

 

株式が共有状態で発生する問題点

例えば先代経営者が70%の株式を保有したまま生前贈与や遺贈を行わずに急逝したとします。

先代経営者には妻と、後継者の子供1人と後継者以外の子供1人がいたとします。

 

この場合の法定相続分は以下の通り、妻が1/2、子供は1/4ずつとなります。

 

経営者死亡した場合の法定相続分

 

つまり先代経営者が保有する70パーセント分の株式の実質的な決定権は現在半分の権利を保有する妻を味方につけた側になります。

仮に後継者ではない子供が妻と結託して先代経営者の株式持分70%で全ての権利を行使することができるのです。

 

70%全ての議決権を行使すれば、現在取締役に就任している後継者を取締役解任決議等によって退陣させることも可能です。

確実な事業承継のためには出来るだけ早い生前贈与や最低でも遺言は作成しておきましょう。

 

売渡しの請求を利用した相続クーデターも起こり得る

また親族での相続は問題なく実行できそうな場合でも安心というわけにはいきません。

既存の株主によって相続人に対して売渡しの請求を実施されて相続クーデターを起こされる可能性があるのです。

 

売渡し請求の趣旨

非公開企業の譲渡制限株式においては売買や贈与等の特定継承にのみ譲渡制限が適用されます。

一般的には相続等の一般承継については適用されないとしています。

 

しかし、株主相互間の人的信頼関係を重視する閉鎖型タイプの株式会社において、

会社によって好ましくない者が新たに株主になることを防ぐという株式剰余制限の趣旨は一般証券についても妥当とされています。

 

この考えを受けて、会社法では一般承継では売買等の特定承継とは異なり株式の移転の効果が法律上当然に発生するため、

売渡請求制度を設けることになりました。

 

売渡し請求の概要

株式会社は相続その他の一般承継により当該株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対して、

当該株式を譲渡制限株式を取得した者に対し当該株式会社に売り渡すことを請求できる旨を定款で定めることができます。(会社法174条)

 

第百七十四条 株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。

引用:e-gov「会社法」

 

この売渡し請求の対象には「相続させる」遺言による遺贈も含まれます。

 

売渡し請求制度の定款の定めがある場合、出席株主の議決権の2/3以上の多数決による株主総会決議によって、

株式会社は相続人等に対して相続その他の一般承継により取得した株式を会社に売渡すことを請求することができます。

 

ここで注意しなければいけないのは、株主総会決議においては相続人等が議決権を行使することができないということです。

 

第百七十五条 株式会社は、前条の規定による定款の定めがある場合において、次条第一項の規定による請求をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 次条第一項の規定による請求をする株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二 前号の株式を有する者の氏名又は名称

2.前項第二号の者は、同項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、同号の者以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。(売渡しの請求)

引用:e-gov「会社法」

 

ただ売渡し請求をすることができる株式には分配可能額を超えてはならないという制限があります。

つまり、会社に余剰資金が1000万円しかなければ売渡し請求できる株式の上限は1000万円分となります。

余剰資金が少なく、相続する予定の株式数が多ければ全額を売渡請求をすることは出来ません。

 

第四百六十一条

次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。

<<中略>>

五 第百七十六条第一項の規定による請求に基づく当該株式会社の株式の買取り

参照:e-gov「会社法」

 

それでは具体的な例を用いて売渡し請求によって起こる問題点について言及していきたいと思います。

 

相続クーデターとは?

売渡し請求権による相続クーデターについて具体例で説明していきます。

先代経営者は70%の株式を保有しており、後継者が10%、その他に専務が10%、常務が10%保有していたとします。

 

先代経営者には妻と後継者以外の子供はいますが、両者は後継者の承継に対して異存は抱いておりません。

 

経営者死亡した場合の法定相続分

 

よって事業承継は一見するとスムーズに行われるように思われます。

しかし、株式を保有している専務と常務は後継者による承継を快く思っていません。

 

しかる状況下で専務と常務が結託して後継者に対する売渡請求を行うことができます。

たとえ相続する予定の先代経営者の株式70%と後継者自身が10%つまり合計で80%の株式を保有していても議決権は行使できません。

 

あくまで専務と常務が保有している20%分の株式の2/3以上の決議で売渡しを請求することができるのです。

売渡請求が行われると後継者が先代経営者より承継されるはずだった株式は株式会社保有の自己株式となり議決権がなくなります。

 

最終的には専務と常務が保有する株式の合計20%と後継者が保有する株式10%のみが議決権を行使できる株式となります。

このような状況では専務と常務によって後継者の解任決議も可能となりますし、両者の賛同がえられないと通常の多数決も行えません。

 

結果的に後継者が自分の意思で事業運営を行っていくことが困難になってしまうのです。

出来るだけ生存中に後継者に生前贈与等の承継を計画的に行っておきましょう。

 

まとめ

生存贈与や遺贈が行われない状況で現経営者が亡くなると株式は相続人の共有状態となります。

共有状態となった株式は過半数をもつ代表者によって全ての権利が執行されます。

そのため、必ずしも後継者が事業を承継することができない可能性もあるのです。

 

さらに株式の承継が親族間で合意がなされていたとしても、株式を保有する他役員による売渡し請求にある可能性もあります。

結果的に後継者が事業を承継できないという可能性もあるので、できるだけ計画的に後継者に事業承継は行いましょう!

 

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