テンダー・オファーとは?公開買付のメリット・デメリットを事例を交えながら紐解く。

テンダー・オファーとは?公開買付のメリット・デメリットを事例を交えながら紐解く。

M&A用語

友好的な株式公開買付「テンダー・オファー」とは?公開買付のメリット・デメリットを事例を交えながらわかりやすく解説。

 

テンダー・オファー(tender offer)」とは、株式公開買付のことです。

 

これは発行株式の購入期間、株価、目標取得株式数を発表しておき、有価証券市場外で不特定多数の株主から株式を大量に買い付けることです。

 

日本では、敵対的な株式公開買付けを「TOB(take-over bit)」というのに対して、友好的な株式公開買付をテンダー・オファーと呼ぶことがあります。

 

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テンダー・オファーの目的

一般の株式売買は証券取引所などを通じてキャピタルゲインを目的として取引されます。

株式公開買付はこれと異なり、第三者が株式市場を通さずに株式を購入し影響力を高めたり買収して子会社化を狙っています。

 

テンダー・オファーの目的は経営権を獲得することなのです。

 

ここでいう経営権の獲得とは、株主総会の決議を単独で可決できることです。

相手企業が発行している株式の50%を所有すれば可能となります。

 

また、株式の3分の1を所有すると株主総会において、特別決議の拒否権を使えるようになります。

 

友好的テンダー・オファー

買収される企業の経営者と、事前に了承を取りつけた上で行うテンダー・オファーのことをいいます。

買収後も元の経営者が経営に携わることも多く、日本ではこの形式の買収が多くあり、成功率も高まります。

 

ただし、株価は敵対的テンダー・オファーよりも低めにつけられることがほとんどです。

合意の上での買い付けということで市場価格と比較して低くなることがあるのです。

 

友好的テンダー・オファーの事例

阪神電気鉄道・阪急ホールディングスのテンダー・オファー

2006年に、阪神電気鉄道の株式公開買付を実施しました。

 

当社は、平成 18 年5月 29 日開催の取締役会において、阪急ホールディングス株式会社(以下「阪急ホールディ ングス」といいます。)が実施する当社普通株式の公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に賛同の意を表 明することを決議しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

なお、当社と阪急は、両社の経営統合に関して合意に至り、平成 18 年5月 29 日開催の両社の取締役会決議を 経て、本公開買付けの成立を条件として、阪急ホールディングスを完全親会社、当社を完全子会社とする株式交 換を行う旨の株式交換契約を締結いたしております。

引用元:阪神電気鉄道株式会社「公開買い付けの賛同に関するお知らせ」

 

同年の10月には阪神電気鉄道を完全に子会社化し、阪急ホールディンクスも阪急阪神ホールディングスに名称を変更しました。

 

その後、旧阪神電気鉄道がもっていた百貨店事業、ホテル事業、旅行会社事業なども統合され現在は阪急阪神ホールディングスグループとしています。

社名や経営方針については、阪神側にかなり配慮をした上での買収となっています。

 

メルシャン・キリンのテンダー・オファー

もともと味の素が筆頭株主であったメルシャンは、2006年11月にキリンと資本・業務提携をします。

その後、取締役会公認での株式公開買付となり、キリンビールの子会社になりました。

 

キリンホールディングス株式会社(以下キリン)とキリンが50.12%の株式を保有する 連結子会社のメルシャン株式会社(以下メルシャン)は、キリンを完全親会社、メ ルシャンを完全子会社とする株式交換契約を8月27日に締結

引用元:キリンホールディングス

 

現在、キリンの焼酎・ワイン・梅酒などの酒類事業の中心を担っています。

現在は、キリンビールがキリンホールディングスの傘下にあるため、メルシャンはキリンホールディングスの直接の子会社となっています。

 

敵対的テンダー・オファー (≒TOB)

相手企業の了承なく株式を買うテンダー・オファーのことです。敵対的なテンダー・オファーのことをTOBと考える向きもあります。

ただ、公開買い付けそのものを友好的、敵対的に関わらずTOBとする説もあり意見がわかれます。

 

敵対的テンダーオファーは企業の経営権を無理やり奪うので、買収後、経営方針が一気に変わることも予想されます。

また、買付価格はかなり高めになります。

 

この場合、経営陣は買収に対抗するための対策を講じる必要があります。

たとえば、以下のようなものです。

(1)既存株主に買付価格が低いので買わないように警告する
(2)第三者である友好な企業に先に株式を大量購入してもらう(ホワイトナイト)
(3)すでに株主である人たちに新株予約権を発行しておき、敵対的テンダー・オファーが始まったときに新株を発行する。そうすることで、仕掛けてきた企業の株式全体に占める割合を低下させる。(ポイズンピル)といった方法があります。

 

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これらすべてが完璧に買収を防ぐわけではありません。

仕掛けてきた企業がスムーズに買収できなくなるため、安易な買収は難しくなります。

 

ただし、株価が十分高値になったときは、買収を受け入れることもあります。

 

敵対的テンダー・オファーの事例

ドン・キホーテのオリジン東秀へのテンダー・オファー

オリジン弁当を経営するオリジン東秀は、2005年に東京証券取引所第2部に上場しましたが、翌年、ドン・キホーテが株式公開買付を発表しました。

理由は以下の通り上手く連携できていないオリジン東秀との事業提携強化のためとしています。

 

次世代型コンビニエンス・ストアを事業化し、競争に打ち勝つう えで重要なことは、スピードをもって相当数の店舗を展開していくことであります。また、優良な立地へ の出店の機会を確保するという観点からもスピードが重要となります。しかし、これまでの両者の提携 は、「ピカソ」内に「オリジン弁当」がテナントとして出店する形態にとどまっており、次世代型コンビニエ ンス・ストアの出店に目処が立っていないなど、両者の事業提携を成功に導く上で必要な条件である スピードが不足していると言わざるを得ない状況であります。

<中略>

オリジン東秀の中期経営計画の達成可能性 を高めるためにも、熟慮した結果、両者の事業提携の強化に向け、取締役の派遣などを含めて、オリジン東秀の経営へのコミットメントを高めることを選択し、公開買付けの実施を決定いたしました。

引用元:ドンキホーテのIR

 

オリジン東秀の経営陣はこれに異を唱え、さらにはイオンの株式公開買付に同意しオリジン東秀はイオンが筆頭株主となりました。

イオンはオリジン東秀の「ホワイトナイト」となり買収を防いだということになります。

 

伊藤忠商事のデサントへのテンダー・オファー

1974年に合併したデサントの筆頭株主であった伊藤忠商事は、2019年デサントの株式公開買付を発表しました。

これは、デサントの韓国を中心の経営に反発した伊藤忠商事が、デサントに敵対的テンダー・オファーを仕掛けました。

 

結果的に敵対的テンダーオファーは成功してもともと所有していた株式と合わせて伊藤忠はデサントの40%の株式を取得しました。

 

理由については以下の通りの発表されています。

 

伊藤忠商事は15日、スポーツ用品会社デサントへの株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。日本では事例の少ない敵対的TOBとなったが、筆頭株主で約3割を保有する伊藤忠が経営改善を求めて出資比率を4割まで高める。伊藤忠によるデサントへの影響力が増すことになった。

デサント株式の3分の1超を伊藤忠が保有することで、株主総会で特別決議が必要となる重要な経営事項に対して単独での阻止が可能となる。取締役の解任や新株発行、企業合併などが特別決議の対象で、伊藤忠の意向がより反映されやすくなる。

デサントは今回のTOBは経営支配につながるとし一貫して反対していた。同社の労働組合と元従業員からなるOB会も同様に反対。ただ、デサントは伊藤忠のTOBは成功するとの見込みから、増資などの手段で対抗することはせず、TOB成立後に企業運営などについて協議したいとも表明していた。

伊藤忠のこれまでの説明によると、デサントは女性用下着メーカーのワコールホールディングスとの提携を直前まで連絡しなかったことや、マネジメントバイアウト(MBO)の実施計画を相談なく検討したことなどから両社の関係が悪化。また、伊藤忠はデサントに対して韓国市場に過度に依存した経営を改め、国内事業の改善や他国でも積極的な事業展開をすべきと求めていた。

引用元:Bloomberg

 

先ほどのオリジン東秀の件と異なり敵対的買収が成功する見込みが高い場合は経営陣もギブアップするケースとなっています。

3分の1以上の株式を保有することで重要事項について単独での阻止が可能となり影響力を高めることに成功しました。

 

テンダー・オファーのメリット

メリットの1つ目は、費用を抑えることができる点です。

一般的に、証券取引市場を通じて株式を購入するとき、短期に大量の株式を購入すると、株価は上昇します。

 

そのため、当初予定からみて株価が高くなれば、株式の購入にかかる費用も上がります。

また、想定している数量の株価の購入が難しくなったりします。

 

テンダー・オファーでは、前もって価格がわかっているので、買付にかかる費用を事前に確定しておくことができます。

また、望む株式数の上限や下限を設けることもできます。

買いすぎてしまうこともなく、予定している数に満たない場合は取得しない、といった判断もできます。

 

無駄な費用をかけることをしなくてすみます。

メリットの2つ目は、スムーズに買い付けが行えることです。

 

普通であれば長時間かかる株式の取得も、テンダー・オファーであれば、買付期間が決められているため、短期間での買い付けを行えます。

3つ目のメリットは、株価が市場価格よりも総じて高く設定されやすいことです。

 

買収される側の企業が、将来的に見込みがあるとなれば、さらに株価を押し上げることになり、より利益が大きくなります。

 

テンダー・オファーのデメリット

一方で、デメリットとして挙げられるのが、買付が失敗するケースになります。

友好的テンダー・オファーであれば、買付の成功率は上がりますが、それでも競合他社の介入によって失敗することも考えられます。

 

買付価格が上昇し、想定していた予算よりも大幅に高くなる可能性もあります。

もしくは、友好的テンダー・オファーを行った企業によって受け入れが拒絶されたとき、敵対的テンダー・オファーに切りかえなければなりませんし、相手企業による抵抗を受けることもあります。

 

それによって、多額の資金が必要になるか、買付自体を取りやめることにもなります。

 

関連記事:企業価値評価とは?評価額の算出方法とバリュエーションを高めるメリットを徹底解説。

 

テンダー・オファーを行う際の手続き

テンダー・オファーを行う際の手続きについて、解説します。

 

公開買付の条件の提示

買主が、買付にともなう目的や、購入期間、価格、予定株式の数などをあらかじめ提示します。

広告の方法はEDINET、ないしは日刊の新聞への掲載です。

 

友好的テンダー・オファーの場合、同時期に買収企業との話し合いを持ち、了承を得ておきます。

また、公開買付を実施した日に、内閣総理大臣への届け出も必要です。

 

意見表明書報告書の提出

これは、売る側が内閣総理大臣に提出する書類になります。

提出期限は公開買付が告知されてから10営業日以内になっており、質問や意見を書くことができるのです。

 

内閣総理大臣に提出後、同じもののコピーを買収先と金融商品取引所に送付します。

意見書に質問等があった場合、今度は買収先が解答を記載したうえで、再び内閣総理大臣に送付、コピーを売る側と金融商品取引所に送ることが義務付けられています。

 

公開買付説明書の発行

これは買い手側が作成するもので、内閣総理大臣へ出したものと同じ内容が書かれています。

事前に株主に配布します。

 

公開買付報告書の提出

買い手側の企業が、公開買付終了後、直ちに内閣総理大臣に提出しなくてはなりません。

これに公開買付の結果などを表記し、提出すれば、公開買付の手続きは終了となります。

 

この段階で、株式の過半数を獲得していれば買収は成功となり、買収した企業の経営権を獲得したといえます。

 

まとめ

今回はテンダー・オファーについての解説でした。

日本においては、友好的テンダー・オファーの実施のほうが多いのですが、必ずしも成功するわけではありません。

 

メリットも多くありますが、買収を防衛されることも多々あります。

M&Aのひとつの手法として、検討してください。

 

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