経営承継円滑化法

事業承継税制の一般措置と特例措置の違いとは?特例承継計画表等の特例措置適用手続きも含めてわかりやすく解説。

事業を承継する場合、後継者が株式を承継することによって相続税、または贈与税が発生しますが。

しかし、これらの税負担は重くなりやすく、事業承継のネックとなっていました。

 

平成20年度に事業承継における税負担を軽くするため「事業承継税制」が設けられました。

しかし、現在では、当初から設けられていた「一般措置」よりも有利な内容である「特別措置」が設けられています。

 

事業承継税制とは?

事業承継税制とは、事業承継における税負担を軽くするための制度です。

制度を利用するためには一定の条件がありますので、利用する場合には条件についてあらかじめ確認しておきましょう。

事業承継税制で相続税や贈与税が減免に

事業承継税制とは、事業を承継する後継者が先代の経営者から株式を引き継いだときに相続税や贈与税が減税、もしくは免税となる制度のことです。

2009年の租税特別措置法の改正によって創設されました。

参照:大和総研「金融調査部」

 

事業承継において後継者が株式を引き継ぐ方法としては、経営者が亡くなった場合に株式を引き継ぐ「相続」や「遺贈」と、

経営者が生きている時点で株式を引き継ぐ「生前贈与」があります。

 

【生前贈与】

関連: 生前贈与によって株式譲渡を受けて承継する時の手順と注意点とは!?

【遺贈・相続】

関連: 事業承継方法の一つ「遺贈」による相続の方法について徹底解説!

関連:株式を相続する場合の注意点とは?売渡し請求行使による相続クーデターに気をつけよう!

 

後継者が相続によって株式を引き継いだ場合は「相続税」がかかるほか、贈与によって株式を引き継いだ場合は「贈与税」がかかります。

関連: 事業継承にかかる相続税等の税金とは?事業継承税制の中身を知り、大きな節税を実現させましょう

 

引き継いだ株式の評価額が高いほど、相続税、または贈与税の額も高くなるため後継者としては税負担が大きくなってしまいます。

場合によっては納税のための資金繰りが困難になってしまう場合があります。

事業承継税制は、後継者が株式を引き継いだ際の税負担を軽減するために創設された制度となっています。

 

事業承継制度を利用できる会社の条件

事業承継制度を利用できる会社の条件は、以下の通りとなります。

 

  • 上場会社でないこと
  • 中小企業者であること
  • 風俗営業会社でないこと
  • 資産管理会社でないこと(一定要件を満たす会社は除く)

 

事業承継制度は中小企業を対象とした制度です。

上場企業は除外されるほか、中小企業であっても風俗営業会社と資産管理会社は除外となります。

 

なお、中小企業者の条件は以下の通りとなり、資本金の額、従業員数は業種によって異なります。

 

  • 製造業ほか:資本金3億円以下、従業員数300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下、従業員数100人以下
  • 小売業:資本金5000万円以下、従業員数50人以下
  • サービス業:資本金5000万円以下、従業員数100人以下

 

事業承継制度における贈与の条件

事業承継制度において、後継者が贈与を受けられる条件は以下の通りとなります。

  • 会社の代表者であること
  • 20歳以上であること
  • 役員に就任してから3年以上が経過していること
  • 後継者および後継者と特別の関係がある者

ただし、議決権数は総議決権数の50%を超えることが条件となります。

 

先代の経営者が贈与を行える条件は以下の通りとなります。

  • 会社の代表者であったこと
  • 贈与の直前において、議決権数が総議決権数の50%を超えていること
  • 贈与をする時点では会社の代表者でないこと

 

事業承継制度における相続の条件

後継者が相続を受けられる条件は以下の通りとなります。

  • 相続開始の直前の時点で会社役員であること
  • 相続開始の時点で議決権数が総議決権数の50%を超えていること
  • 相続開始日の翌日から5か月を経過した時点で会社の代表者であること

 

相続において、先代の経営者の要件は以下の通りとなります。

  • 会社の代表であったこと
  • 相続の直前において、議決権数が総議決権数の50%を超えていること

なお、相続の場合は、納税が猶予される相続税額および利子税の額に見合う担保を税務署に提供しなければなりません。

 

 

事業承継税制の「一般措置」

事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2種類の制度があります。

一般措置とは、事業承継税制が創設された2009年から続いている制度で、以下の条件となります。

 

  • 納税猶予の対象株数:総株式数の最大3分の2まで
  • 納税が猶予される割合:贈与の場合100%、相続の場合80%
  • 後継者の数:1人

 

一般措置は、納税猶予の対象株数が最大で3分の2に制限されていること。

そして、納税が猶予される割合は相続の場合80%までに制限されています。

つまり最大で約53%分が猶予されることになります。

 

また、雇用確保要件としては、承認後5年間にわたって平均8割の雇用維持が必要となっています。

そのほか、事業の継続が困難な事由が生じたとしても免除されることはありません。

 

事業の継続が困難な事由としては、以下の通りとなります。

 

  • 過去3年間のうち、2年以上赤字であること
  • 過去3年間のうち、2年以上売上が減少していること
  • 有利子負債が6か月分の売上額以上に達していること
  • 同じ業種の上場企業の株価が前年の株価を下回っている場合
  • 心身の不具合などにより後継者が業務を続けられない場合(譲渡・合併のみ)

 

相続時精算課税は、60歳以上の者から20歳以上の推定相続人(贈与者の子供)・孫への贈与される場合にのみ適用されます。

相続時精算課税とは、父母や祖父母から子供や孫に生前贈与する場合に利用できる制度で、

特別控除額が2500万円、贈与税率は20%で固定となっています。

 

贈与税の基礎控除額は110万円で、通常は贈与額に応じて税率が上がることから相続時精算課税は生前贈与を行いやすくするための税制といえます。

一般措置の制度は、雇用確保要件である平均8割の雇用を5年間にわたって維持することが中小企業にとっては厳しいです。

また、事業の継続が困難な事由が発生しても相続税、贈与税が免除されないために、利用しにくいことがデメリットとなっていました。

 

事業承継税制の「特例措置」と特例承継計画

経営者の高齢化が進む中で、中小企業の事業承継は待ったなしの状態となっています。

その対策として、2018年の税制改正において、より条件の良い制度である「特例措置」が設けられました。

特例措置を利用するためには、特例承継計画を作成し、申請の手続きを行わなければなりません。(後述)

事業承継税制の「特例措置」

特例措置と一般措置の比較は以下の通りとなります。

 

特例措置 これまでの措置
事前の計画策定等 5年以内の特例承継計画の提出
(2018年4月1日~2023年3月31日)
不要
適用期限 10年以内の相続等・贈与
(2018年1月1日~2027年12月31日)
なし
対象株数 全株式
(ただし、議決権に制限のない株式に限る)
総株式数の最大3分の2まで
(ただし、議決権に制限のない株式に限る)
納税猶予割合 100% 相続:80%、贈与:100%
後継者の数 3人以内 1人
雇用確保要件 原則として、承継後5年間平均8割の雇用維持が必要だが、要件を満たさなかった理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、その確認を受けることで、引き続き納税が猶予される 承継後5年間平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困難な事由が
生じた場合の免除
譲渡対価の額等に基づき再計算した猶予税額を納付し、
従前の猶予税額との差額を免除
なし(猶予税額を納付)
相続時精算課税の適用 60歳以上の贈与者から20歳以上の者への贈与 60歳以上の贈与者から20歳以上の推定相続人
(直系卑属)・孫への贈与

 

特例措置については以下で図を用いてわかりやすく解説しています。

関連: 事業承継税制とは?特例措置の内容をわかりやすく解説。

 

事業承継税制の特例措置を受ける手続きについて解説!特例承継計画とは?

特例承継計画とは、事業承継税制の特例措置を受けるために策定する計画のことです。

この計画を提出しなければ特例措置を受けることができません。

 

贈与も相続も特例承継計画を行うことが起点

事業承継税制の特例措置をうけるためには生前贈与の場合も、相続の場合も特例承継計画を事前に提出しておく必要があります。

 

【贈与の場合】

相続税の猶予を受ける手順

参照:中小企業庁

 

 

【相続の場合】

相続税の事業承継税制の免除と猶予の取り消し要因

参照;中小企業庁

 

2023年3月31日までに特例承継計画を作成する必要があります。

ただ、2023年3月31日までに特例承継計画を提出しない段階で先代経営者が死亡した場合は間に合います。

 

先代経営者の死亡後に2023年3月31日までに特例承継計画を提出すれば特例措置を受けることができます。

特例承継計画を提出することにより、2027年12月31日までの贈与と相続に対して事業承継税制の特例措置を受けられます。

 

STEP1.特例承継計画を作成

特例承継計画に記入する内容としては以下となっています。

後継者の氏名
事業承継の予定時期
後継者が承継するまでの事業計画
後継者が承継してから5年間の事業計画

特例承継計画に必要な書類一式

記載した内容については、認定経営革新等支援機関から指導やアドバイスを受ける必要があります。

認定を受ける機関は認定経営革新等支援機関です。

 

各地方の認定経営革新等支援機関については中小企業庁が指定していますのでご覧ください。

税理士法人や公認会計士法人が多くなっています。

中小企業庁公表の認定経営革新等支援機関

また金融機関については金融庁が指定しており、中小企業庁も認定しています。

金融庁公表の認定経営革新等支援機関

 

特例承継計画認定のプロセス

参照:中小企業庁

 

支援機関でうけるべき「指導」および「助言」の内容については以下の手順書で詳しく解説されています。

特例承継計画提出時のプロセス

 

認定を受けた特例承継計画を都道府県に提出します。

 

STEP2.2027年12月31日までに贈与又は相続を行い都道府県から認定を受ける

都道府県の確認がおわった後に実際に期限とされる2027年12月31日までに贈与又は相続を行います。

贈与並びに相続後に確認をうけた特例承継計画を都道府県に申請を行い認定を受けます。

 

各都道府県の申請先についても中小企業庁が公表していますので申請時にご利用いただければと思います。

都道府県の申請窓口

 

認定をうけるためには、相続や贈与後6ヶ月以内に申請を行う必要があります。

 

STEP3.後継者が税務署に申告して納税猶予の申告を受ける

事業承継後の後継者が税務署に対して相続税・贈与税の申告を行い税務署から認定を受ける必要があります。

申告を行う際に特例承継計画とSTEP2で得た申告書を付して申請します。

申告は税務署の窓口でも行うことができますが、WEB上でも行うことできますので「国税庁の特例承継計画マニュアル」の以下部分をご覧ください。

 

事業承継計画の特例措置における相続税又は贈与税の申告方法

参照:中小企業庁

 

【贈与の場合のチェックシート】

(贈与版)国税庁の事業承継税制特例措置適用のためのチェックシート

【相続の場合のチェックシート】

(相続版)国税庁の事業承継税制特例措置適用のためのチェックシート

 

まとめ

事業承継税制は、中小企業において事業承継を進めやすくすることを目的として設けられた制度ですが、2018年からは、さらに良い条件の制度である「特例措置」が設けられています。

日本の中小企業は高い技術を持っている企業が多いですが、そのような中小企業こそ事業承継を行うべきではないでしょうか。

中小企業の事業承継においては、承継したときの税負担が軽減されていることから、この税制を利用しながら企業の承継を図っていきましょう。

 

経営承継円滑化法とは?中小企業の維持・継続を支える政策をわかりやすく解説!

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